『境界のRINNNE』高橋留美子/週刊少年サンデー連載中
幼少の頃は人並みに『うる星やつら』『らんま1/2』のアニメ・漫画共に楽しみにしていた自分ですが、その後漫画自体をあまり読まなかった時期もあり気が付けば長い間すっかり離れていた高橋留美子先生作品。なかなか機会が無かったのですが新連載発表を機に、読み始めることにしました。うーん、やっぱり留美子先生のコメディはぶれない面白さがあるなあ。


幼い頃に神隠しを体験して以来、霊的な存在が見えるようになってしまった高校生・間宮桜(まみや さくら)。彼女が通う高校の、隣の席に現れた謎の少年・六道りんね(ろくどう りんね)は未練ある幽霊たちを輪廻の輪へ送る死神「みたいな」何かだった。奇妙な縁で行動を共にするようになる2人の奇妙キテレツな学校生活のお話。


幽霊物、そしてちょっとした特殊能力を持った主人公たちの事件解決系という設定自体は特別珍しいものではありませんが、それでもしっかりと面白いというのはやはり料理の巧さということなのでしょう。留美子先生作品は台詞のセンスが特に好きです。自分自身が会話ベタなこともあって、テンポが良くて面白い漫画の会話に憧れがあるのですが留美子先生作品の会話センスは多くの漫画の中でも特に理想的な会話の形といえます。常にどこか冷静でありながら打てば必ず響くような言葉の応酬に痺れます。自分の来世がサバだと聞かされて「あれは味噌で煮ると旨い。」と返せるりんねのおじいちゃんも、そのおじいちゃんを「来世サバ男」とばっさり言い切るりんねも素敵だということです。
そんな会話だけではなくタイミングや綺麗な揃いのキャラクタのポージングなども含めてどこか読み手の視線を意識しているような雰囲気があります。登場人物がすべてわき役に至るまで自分の役割を把握しているような。だからぶれがない。派手さよりは堅実さを感じる画面構成だと思うのですが、それでも地味さや飽きは感じさせないというのはそれだけ圧倒的な巧さがあるからではないかと思うのです。
今更高橋留美子先生の作品にわざわざこんな当たり前のことを語るのも寒いとは思いますが、久し振りに読んだ感想ということでご容赦をいただきたく…。


わたしはなんとなく赤髪でジャージを着た男子に弱い気がするので、りんねが可愛いです。物を与えたくなります。今のところ、りんねと桜の関係はなんとなく行動を共にしてるレベルのラブなきラブコメな雰囲気ですがお弁当の場面は可愛かったなあ。
設定的にシリアスな部分が無いわけではないのですがりんねもライバル?の魔狭人もどっかしらおまぬけなところが微笑ましい。とはいえテーマの一つである生き死にの問題に関しての意識は決して軽くないから安心して読めます。やっぱり安心のるーみっくブランドでした。