『弱虫ペダル』渡辺航/週刊少年チャンピオン連載中
3ヶ月ぶりの新刊ですが、12月には9巻と2ヶ月連続刊行の上週チャン誌上でも5号連続増ページ&カラーの『祭』が開催中と今や新たなチャンピオンの看板への道を驀進していると言っても過言ではない(よね?!)『弱虫ペダル』です。
8巻は、合宿の終わりからインターハイに向けてのそれぞれの準備や決意、そして去年のインターハイで起こった衝撃の事件の回想までが描かれています。
2年生コンビを追い抜き、底が知れない力を持っていることを周囲に改めて認められた坂道ですが、まだまだメンタル面では脆さがあり1000km走破という分厚い壁と緊張感に飲まれてしまいそうになります。そこに現れ知識と道具を授けエールを送ったのは他でもない、坂道に敗れた手嶋先輩でした。”頂に届かなかった者”である手嶋先輩から受け取ったバトンは強く重く、その想いを受けて目が覚めたかのように坂道は見事1000km完走という結果を収めます。ゴールへ到着する坂道を皆が迎え入れるシーンは、「ロードレース」への新たな決意と仲間への想い、そしてそこから繋がるまだ見ぬ道への希望が詰まった一つの区切りとも言える素晴らしい場面だと思います。
坂道は「人」から受け取る力が強く、仲間から受け取った想いが強い原動力になっていると言えますがそれに似た強い想いを持っていると感じさせられたのは少し意外かもしれませんが金城主将その人でした。
一年前のインターハイ。王者・箱根学園の福富との一騎打ちになった時に発せられた金城の言葉は
「だがオレは散っていった者の想いをのせて走っている!!オレは1人で走ってるわけではない!!」
「この足には皆の願いがつまってる…オレがオレ1人の意志だけじゃ止められんよ」
と「仲間への想い」が強く込められたものでした。普段は多くは語らない金城主将の熱く、強い想いの力。個の力に絶大な自信を持った福富とは正反対でした。しかしその想いこそが止まることなく沸いてくる力そのもの。だからこそ福富が予想もしなかった(いや、できなかった)走りを見せることが出来たのでしょう。坂道は今はまだ弱くて、すぐ挫けそうにもなりますが「仲間の想いを繋ぐ走り」というものは引き継がれていく総北高校自転車競技部の遺伝子なのかもしれません。普段は多く語らない金城主将が練習の最中に心も身体もぐらついてしまった坂道に伝えた言葉にも、その想いを強さに変えていけというメッセージが込められていたのではないでしょうか。
8巻はインターハイ前ということで束の間の日常回も収録。元々渡辺先生が描かれる日常ほのぼのコメディが大好きでしょうがない隊のわたしとしてはうれしくてしょうがないです。これだけ魅力的なキャラが揃ってるのだもの、熱さの合間にほのぼのがあったっていいじゃない。補習を受けるトリオ+杉元可愛い。杉元はほんっとうにうざいけどいい奴。寒咲さんだってたまにはヒロインのお仕事するよ!
そして巻島邸宅訪問は神回と言ってしまいます。
田所っちと巻島先輩の掛け合いのテンポの良さったら。ハム食ってるっショ!!1年トリオの反応の三者三様っぷりも楽しいです。鳴子君の「首んとこ広っ!!」っていうツッコミがとても好きです。あと坂道は本気で言いつけ守らなかったら死刑だと思ってる。
そんな楽しさと熱さが見事にブレンドされているのが円陣を組むシーンです。この場面も大好き。個性が強くて、負けず嫌いで(今のとこ坂道以外か)、でも仲間想いな6人。まさに最強メンバー!わたしは「最強のチーム」って言葉に弱いのですがそれ以上に「オレたち」が付くともっともっと弱いんです。自分のことも、仲間のことも信じてないと言えない言葉だから。
1年前の事件からお互いに残った悔しさ、一人一人の負けられない想い。そして「不確定要素」である坂道、「未知数」である山岳。それぞれの想いを胸に、次巻はいよいよインターハイの開幕です!
過去エントリ
そして彼は覚醒する 弱虫ペダル 1巻/渡辺航 - 漫画脳
気弱な少年の決意 弱虫ペダル 2巻/渡辺航 - 漫画脳
純粋という名の速度 弱虫ペダル 3巻/渡辺航 - 漫画脳
その時誰もが惹かれることを止められなかった 弱虫ペダル 4巻 - 漫画脳
上へ上へと…登るしかないっショ 『弱虫ペダル』5巻 - 漫画脳
それぞれの想い、それぞれの絆 『弱虫ペダル』6巻 - 漫画脳
全身全霊、5人のゴールスプリント 『弱虫ペダル』7巻
『弱虫ペダル』・坂道から消えたのはオタク魂ではなくて
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