『CAPTAINアリス』高田裕三/イブニング連載中
『ヌイグルメン!』目当てで買い始めたイブニングですが、今では楽しみにしている作品も増えました。こんなこと言うのも一度や二度じゃないのでお恥ずかしいとかいうのも既に通り越してますが、これが高田裕三先生作品初見です。


主人公・長谷川ありす(26歳)は貨物航空会社で副操縦士を務める女性パイロット。エリートパイロットだった父親に幼少の頃から叩き込まれたお陰で技術は確かなものの、その破天荒且つトラブルを楽しんでしまう性格でパイロット適性にはやや問題が…。
そんなありすが出逢った少年、航空会社社長の息子である慧は「前もって事故機が分かってしまう」という特性に苦しんでいました。ありすは予知能力などは信じられないとしながらも、苦しみの中自分を信頼して助けを求めてきた慧に複雑な思いを抱きます。
「予知能力」に対しては半信半疑ながらも、容赦なく次々に襲ってくるトラブル。それに対抗するありすの判断は周囲から見れば無謀そのもので無茶苦茶。しかし確かなテクニックとそれに基づく自信で飛行機も、乗客の命も護っていきます。


車の運転をするときに性格が変わる…という話はよく聞きますが、操縦中の…特にピンチに陥ったときのありすのキレっぷりは異様です。
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そしてこの顔である…。大勢の人の命が懸かった状況を”楽しむ”ということは不謹慎と言われれば言い返せないようなことですし、ありす本人も自己嫌悪に陥ることもあります。しかし仕事としての義務感よりずっと前の、まるで野性のままで危機的状況を打破していくその姿は、読んでいるうちにどんどん頼もしく見えてきます。はっきり言って可愛い性格とは程遠いヒロインですがw敵が増えてもへこたれず自分の信念と父の教えを貫く姿は気持ちが良いものです。そういったありすに触れ、徐々に周囲にも理解を示し、その力を認める人が増えて行きます。
特にベテラン機長大原さんが事故後の検証中にありすに言った言葉はベテランならではの重みと無茶苦茶ながらも危機一髪のところを切り抜けたありすに対しての敬意がこもっていて、じんときました。そして事故調の童藤さんはツンデレすぎるw


1巻最大の見所として推したいのは、ありすが本社異動後に同僚でもある金蚕機長が操縦する旅客機がアクシデントに見舞われ、その救援に(突如)事故検分中の機で向かう場面。ありすの判断は常軌を逸していますが、ただ無謀というわけでなく実行し完遂するありすと金蚕機長は凄まじく格好良い!
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多くの乗客を乗せた旅客機がトラブルに巻き込まれている真っ只中にうろたえることなくこの会話だもんなあ~痺れます。


コロコロ変わるありすをはじめとした人のイキイキした表情と迫力ある飛行機の描写は言うまでもなく高いレベルで安定感があります。規模がデカいアクション物と言っても過言ではないかと。寧ろ飛行機にまで表情があるように見えてくるから凄い。
性格に難はあり、されど大勢の人の命を”護る”ありすは闘うヒロインとも呼べる存在。そしてありすは慧くんの不安をも拭い去ることが出来るのでしょうか、非常に今後が楽しみです。ありすと金蚕さんの関係がラブに発展していくかもたのしみたのしみ。