『アオイホノオ』島本和彦/月刊少年サンデー連載中
ゲッサン移籍になってから初の単行本ですね。とうとう焔燃青年は小学館に漫画を持ち込むまでに至ります。
友達のきっちゃんと共に上京し小学館と隣のSA社(S英社…ですね)に持ち込みに向かう焔青年。実際に持ち込むまでは「帰りにはプロになってるかもしれない」と自信満々ですが…。


根拠もなく必要以上に盛り上がった自信というものはその落ち方も激しいです。そういえばここにきて、焔青年は初めて「漫画のプロの現場」というものにやって来たわけですね。プロの原稿やセミプロの原稿を見て、ベタの塗り方ひとつとってここまで落胆したりまた浮上したりと忙しい人です。そして結局のところ可か不可かすらもわからずに喪失感だけを得て、成り行きで観に入った「ロッキー」と同化するのであった…
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そしてこの顔である。
笑っちゃいけないのか、あえてそこは笑っておいた方がいいところなのか迷いますがやっぱり笑ってしまう。


焔青年の凄いところは沈み方も再起の仕方も上から目線なところ。いやあもう、その気持ちがわかってしまうのも痛い。にしても「俺に才能があってもわかってくれる人がいなけりゃどうしようもない」って凄いですよね。本人でもどこか言いながら違和感を抱いてるとしても、やっぱり凄い。ていうか、今になってその時代の痛々しさを描くときの気持ちってどんなもんなんでしょう…あ、いや、すいません、このお話はフィクションでしたね。


『アオイホノオ』は3巻だけを見ても、ゲッサン移籍であだち充先生と同雑誌に掲載されるや否や『みゆき』を「いつものような話」「まあまあですよ」と言ったり(一応フォローはありますが…)、小学館の新人賞について「サンデーは最初から50万円を出す気はないんだ!」「めちゃくちゃセコイんだよ!」と叫んだり…あえて言い辛いことをデカデカと、しかもわざわざ繰り返しや見開きで書くという特徴があります。
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読んでる側としてはそこが面白いところでもあるんですが…わざとらしいとも言えるその演出が島本先生が身をえぐって描いている大きな傷痕でもあるような気がします。なんつうか、やっぱり凄いお人だと思うのですよ。


すごくどうでもいいけど、きっちゃんがかわいい。きっちゃんは詳細は語られていないけどその後漫画家デビューする人なんでしょうか?下手に萌えていいのか迷う。



過去エントリ
『アオイホノオ』1巻 - 漫画脳
『アオイホノオ』2巻 - 漫画脳