『弱虫ペダル』渡辺航/週刊少年チャンピオン連載中
2ヶ月連続刊行!表紙は久し振りに坂道単独です。内容を読んでから表紙を見返すと、なんというか込み上げてくるものが…。
一方裏表紙の御堂筋が怖い!!黒く染まりきっているなあ…。
インターハイ初日。スプリント区間の三つ巴戦の決着がつき、田所・鳴子と合流するチーム総北。そのままコースは山岳区間へと突入します。頂上を目指す巻島先輩に代わり、チーム全員を引いて登りを駆け上がるという”役割”を与えられ発奮する坂道。しかし想像だにしなかったアクシデントが…。
次の瞬間、坂道の目に映っていたのは箱根の空―…。
集団落車に巻き込まれ、わけもわからないまま置いていかれてしまった坂道と、坂道…チームを牽引するクライマーを一人失い動揺するチーム総北。しかしその状況において冷静にチームを纏めて引っ張り出したのは他でもなく、最も大きなショックを受けていてもおかしくないはずの巻島先輩でした。
箱根学園・東堂との長年に渡り続いてきたクライマー勝負に最終決着を着けんとまさに山岳区間を登り始めたばかりの出来事。良いタイミングで挿入される回想シーンが余計にその強い想いを訴えかけてくるようです。3年生である2人が決着をつけるためにはこれが最後の機会。けれどもチームが山岳区間を乗り切るためにはクライマーの存在が不可欠というジレンマ。
東堂は基本的に空気が読めないキャラで、だからこそ熱くてストレートで見ていて苦しくなる。どんなにその言葉が心を揺さぶっても、巻島先輩がチームを見捨てるわけが無いから。
しかし、誰よりも一抹の…だけど確かな望みを待ち続けていたのも巻島先輩でした。小野田坂道という一人のクライマーを。
それはきっと誰よりも知っていたから。無謀なまでの純粋さを。他の誰でもない、彼自身が託したものがあったから。
坂道が一人で立ち上がろうとしてしまうのはおそらく、今までの癖なのだと思います。仲間なんていなかった頃の癖。でも今の坂道には仲間がいる。先を走る選手たちだけでなく、サポートをしてくれる2年生たちや寒咲さんや杉元だってそう。
いつも一人でどうしようもなかったからこそ、坂道はたった一言でも、それが自分を信じてくれる言葉なら強い勇気がもててしまうんです。
そして心に火がついた坂道を後押ししてくれるのは仲間だけではなく、本当の自分自身の芯からの熱。それを証明するように自然に口から出てくるのは「ラブ☆ヒメ」OPテーマソング「恋のヒメヒメぺったんこ」だったのです。
凄い。凄いです。なぜだか無性に泣けてしょうがなかったです…。
坂道の原点とすら思えるこの曲を歌いながらの100人抜きへの挑戦、熱くならないわけがないです。そういえば、かつて今泉君を追い上げたときにも坂道の口からはこの歌が飛び出したのでしたね。
ちなみにこれは気弱で引っ込み思案だった坂道がこれだけの人の前で”オタクであること”をさらけ出しているとも言える場面で、そう思うとさらに泣けてきます。強くなったなあ…。
不意のアクシデントにも仲間を信じる心を折ることはなかった坂道と巻島先輩。
しかしもう少しで100人抜きを成し遂げようとする坂道の前に表れたのはあの御堂筋でした。100人目がこの男であるという威圧感。凄まじいです。
一度読んでいるのに、というか読んでいるからこそだと思うのですが11巻は頭から最後までほぼずっと号泣してました…(キモッキモッ!)。
坂道の、巻島先輩の、東堂の…そして総北メンバーたちの想いの強さがビシビシぶつかってくるような巻です。元々渡辺先生のファンとはいえ、面白いとか好きとかいう言葉で表現していいのかわからないくら大好きな作品になったなあ…。
過去エントリ
そして彼は覚醒する 弱虫ペダル 1巻/渡辺航 - 漫画脳
気弱な少年の決意 弱虫ペダル 2巻/渡辺航 - 漫画脳
純粋という名の速度 弱虫ペダル 3巻/渡辺航 - 漫画脳
その時誰もが惹かれることを止められなかった 弱虫ペダル 4巻 - 漫画脳
上へ上へと…登るしかないっショ 『弱虫ペダル』5巻 - 漫画脳
それぞれの想い、それぞれの絆 『弱虫ペダル』6巻 - 漫画脳
全身全霊、5人のゴールスプリント 『弱虫ペダル』7巻
漫画脳:繋ぐ力、支え合う力~ほのぼのもあるよ! 『弱虫ペダル』8巻(渡辺航)
漫画脳:インターハイ開幕!疾走感、御堂筋、そして腹筋(アブ)へ… 『弱虫ペダル』9巻(渡辺航)
『弱虫ペダル』・坂道から消えたのはオタク魂ではなくて
引き継がれていく熱い魂 『弱虫ペダル』10巻(渡辺航)
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