『ヌイグルメン!』唐沢なをき/イブニング連載
当ブログでも1巻の頃からプッシュし続け、イブニングも購読し始めて遅れながらも毎話感想を書いたりと地味な応援活動を行って参りました『ヌイグルメン!』ですが、とうとう連載が終了し、最後の単行本が刊行となりました。感想更新が滞ってしまい、2話程纏めて書こうと思っていた矢先に打ち切りを知り、ショックですっかり中途半端なところで止まってしまっていたのが情けない限りですが…。これが最後の感想記事になると思うと寂しいものがあります。


商店街のスポンサーを得て、2期決定とようやく軌道に乗ってきたかと思われた「きなこマン」ですが、イリのきなこマン役外され騒動やら崖っプロ全焼やらやっぱり波乱の連続で…。
きなこマンスーツの窮屈さに快感を得て常人外れの動きが可能となるイリとしては、きなこマン役を外されるということはまさに絶体絶命のピンチ。一方で、天才型のイリの成長に置いていかれるヒロの苦悩も…。こういう主人公たちの苦悩や成長、そしてなんだかんだのスタッフ&キャストの結束を含んだ『ヌイグルメン!』は、青春モノとか部活モノみたいなところがあります。
でもそうはいかない大人の世界。「お金」という大きすぎる壁がぶつかります。そのために兎に角四苦八苦して、それでもまったく好きなようには作品作りができないけどやっぱり熱くて力強い青春のようなものを感じるのは、単なる「仕事」じゃ済まないそれぞれの(そして唐沢先生ご自身の)熱意・愛・それから意地みたになものが詰まっているからかな、と思います。基本はギャグですから、面白くは描かれてるけれど「きなこマン」メンバーのぶつかってきている問題ってちょっとやそっとのもんじゃなかったですよ。それをくぐってこれたのはもう、理屈の問題ではないです。


若干ラストはご都合展開も入った〆になりましたが、原点回帰でもあり、先に続いていく良いラストだったと思います。
新たにきなこマンを演じるため現れたユウ君ですが…彼も例外に漏れずド変態だったわけで、演者という意味でも特殊性癖という意味でもイリにお手本を示したわけですね(えー)。
思えばイリとヒロは何の困難もなく(どマイナー番組とはいえ)主役の座についたわけですが、そこからその場所を(番組継続的な意味でも)守るために様々な問題や苦労に見舞われていました。だからこそ、再びのスタートでもあるこの終わり方は意味のあるものだったと思います。


話によると最終巻が出るかも危ういところだったようですが、無事こうして形になったことに感謝しています。しかし打ち切り決定後に既刊の増刷が決定という嬉しいニュースもあり、厳しい状況の中でも確かに愛されていた作品であると確信しています。
いつかどこかで続きを描きたいという唐沢先生のお気持ちが変わられないことを信じて、わたしもいつか「きなこマン」の2期が見られる日が来ることを待とうと思います。「きなこマン」は不滅だ!



過去エントリ
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