先日、島本和彦先生の『アスカ@未来系』最終巻である3巻を読み終えました。設定等がやや難解に感じる部分もありましたが、能力バトル+島本節が生み出す独特の空気は唯一無二のもので最後まで非常に楽しませて頂きました。正直、もう少し読みたかったというのが本音です。


そんな『アスカ@未来系』3巻の感想を単刀直入に、且つ自重せずに言うと「オサカベ君かっこいい!!」の一言に尽きます。もともと1巻から大好きなキャラでしたが、ここまで重要な役割のキャラクターになるとは予想できませんでした。
1巻の頃のオサカベ君はというと、巻き込まれ型ながら鋭いツッコミキャラでアスカとのナイスコンビネーションの片鱗は伺わせていましたが、そこはそれでどう見ても「一般人止まり」な空気は否めませんでした。
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(1巻の頃のオサカベ君 一般人中の一般人でした)
しかし3巻での実に気の利いたタイミングでの活躍、さらにはエピローグで完全にやられた!と。なんともニクイ演出です。


そんなオサカベ君の活躍に想いを馳せているうちにふと行き着いたのが、「それまで期待していなかったキャラが活躍するとめちゃくちゃ燃えるよな!」という結論です。
期待していなかった、というと語弊がありますが、少なくともかなり好意的に見ていた自分でもオサカベ君のここまでの活躍は予想していませんでした。こういった形で、初期から登場しつつもあまりストーリー的に重要とは思えなかったキャラ・あるいは姿は見せつつもさほど目立っていなかったキャラが物語が進むにつれて急速に動き始める展開は読み手を興奮させるのではないか…と思うのです。


いえそれが物語への重要な干渉でなくとも、”目立たなかった女の子キャラがメインキャラになったら異様に可愛かった”というパターンでも同様だと思います。古典的な例えで表現するならば、クラスの地味なメガネっ子メソッド。それまで隅っこのほうにしか登場しておらず台詞すら殆どなかった『まじもじるるも』の風紀委員・下村雅子さんのメイン回に得た胸キュン、『はみどる!』の敏腕マネージャー・天地さんが覚悟の現役時代衣装で登場した時のときめき…。
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(覚悟の34歳。天地さん株及びチャンピオン読者の『はみどる!』株を一気に上げた?と思われる)
例えが個人的好み過ぎて伝わりづらくて申し訳ありませんが(汗)、そういった1キャラの印象の転換が時には作品全体への好感度を上げてしまうことすらあります。


そんな形でそれまで目立たなかったキャラの活躍が描かれるに至るにはおそらく、「キャラクターに読者からの支持が集まったので活躍させた」か「元々そういった役割を持たせる予定であたためていた」か何れかの理由が当てはまると思われます。
前者の場合、特に物語の核心に触れるような活躍をさせるのであればそれまでの物語が破綻しないような調整が求められますし、後者の場合は綿密に練られた設定やキャラクターの立ち位置にただただ感服するほかありません。


逆を言えば、鳴り物入りで華々しく登場したキャラクターが終盤にフェードアウトしたりちっちゃいキャラに納まってしまうと多かれ少なかれがっかりしてしまいます。「期待していなかった・目立たなかったキャラの活躍」に燃え萌えるのは、キャラクターを大切に育てて描かれるその作品自体の姿勢や技量にも惹かれるからかもしれません。