ひとつの終わりを迎え
またもうひとつの始まりを迎える時。


『まじもじるるも』事実上の第一部最終巻となる7巻が発売されました。続きは『まじもじるるも 魔界編』として1巻からリスタートするようです。
…リアルタイムで連載を追っていましたが、想像を絶する衝撃、絶望。私がこれまで『まじもじるるも』に、そして渡辺先生が描き出す世界に見ていたものとは全く別の世界が動き出したように思います。どう受け止めるかもまだ迷ってうろたえたまま、こうやって文字を起こしています。


女子大好きの通称ヘンタイシバキこと柴木耕太が、子魔女のるるもと魔法を発動させるチケットを使う契約したのが本連載版『まじもじるるも』の始まりでした。柴木がチケットを全て使うことでるるもは修行を終え、魔女に昇格することが出来ます。しかし、そのチケットを全て使い終わると使用者である柴木には死が…。そしてるるもはその事を知らない。決定的な想いのすれ違いを抱いたまま、刻一刻と修行のタイムリミットはすぐそこまで迫ってきていました。


それまでの楽しくて、平凡な日々の巡りが兎に角素晴らしくて、噛み締めるように読み進めます。この巻に収録されている、こたつに入って怠惰のかぎりを尽くするるもがどうしようもなく愛おしい「しあわせのこたつぶとん」、風紀委員最強の剛腕少女・泉強子さんの一途でピュアネスな恋と成就の物語「チョコと剛腕」の2話はこれまでの『まじもじるるも』の中でも特に大好きなお話たちです。渡辺先生が描く「平和」「可愛らしさ」「おだやかさ」、そしてそこから生まれる笑いの尊さ…それらは私がずっと渡辺先生の作品に惚れ込んで追いかけてきた大きな要因でもあります。

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『まじもじるるも』という作品は、一つの段落の最後の最後でそれを容赦なく叩き潰してきました。


それは終わりでもあり、”魔女”るるもの新たな日々の始まり。
『魔界編』がこれからどういった物語になっていくかはまだ全く解りません。ただ、これまでの『まじもじるるも』とは全く違った物語になっていくことは確かでしょう。…これまでの作品を形成していた大きなものが欠けていったのです。


正直なところ、正面から受け止めることは辛く今でも狼狽し続けいています。しかしこれは渡辺航先生という作家がさらに進化する可能性でもあり、『まじもじるるも』が名作と呼べる作品になるかどうかのターニングポイントでもあるといえるでしょう。私は、渡辺先生を信じて追いかけ続けたい。どうなるかはわかりません、けれどどこかで救済が訪れることを祈りながら。

 

どんなに辛いと思っても、私が『まじもじるるも』という漫画を心底愛しているという気持ちにはかわりはありません。
そして、いま改めて『弱虫ペダル』しか渡辺航先生の作品を知らないという方にも、改めて『まじもじるるも』を読んでもらいたいと思っています。ひとつの終わりを迎えながら、自分にとってはいま最も「目が離せない作品」でもあります。


―…折り返しの渡辺先生のコメントにヒントがあったのだと信じたい。



過去エントリ
まじもじるるも/渡辺航 1巻 - 漫画脳
子魔女は空よりやさしいパンツの夢を見るか? まじもじるるも 2巻/渡辺航 - 漫画脳
輪は広がり、愛される子魔女 『まじもじるるも』3巻 - 漫画脳
漫画脳:ほんわか、ちょっぴりせつない、あとるるもかわいい。 『まじもじるるも』4巻
漫画脳:すべての女の子とおっぱいに幸あれ!! 『まじもじるるも』5巻(渡辺航)
漫画脳:もうひとつの”オタク少年へのエール” 『まじもじるるも』6巻(渡辺航)