『報道ギャングABSURD!』米原秀幸/プレイコミック連載中
週刊少年チャンピオンで『風が如く』の連載を終えられて、プレイコミック・ヤングチャンピオン・そしてプリンセスGOLDでは原作を担当と連載を3つもこなされる米原先生。連載以外でも少し前にはヤングチャンピオン烈誌上で読み切りを発表されていてその執筆ペースには頭が下がるばかりです。その中でもいち早く単行本が刊行されたのがプレイコミックにて連載中の『報道ギャングABSURD!』です。
かつて週チャン誌上で連載されていた『ウダウダやってるヒマはねェ!』の続編といえる作品ですが、私のような『ウダヒマ』未読の新参ファンにも十二分に楽しめる内容となっています。


会社をリストラされたことを家族に報告できず、毎日職安に通い路頭をさまよっていたJソン(通称。本名:松郷勇)。その目前に突如現れたのは高校時代の旧友・蘭岳四郎。リストラを見抜かれたJソンは、元カメラ会社の営業職の腕を買われ四郎の「仕事」を手伝うことに…。
四郎の「仕事」、それは誰も撮れないような過激な事実を暴きカメラに納めるアンダーグラウンド報道ジャーナリスト。スリルと刺激にまみれた四郎の日々に、Jソンは守るべき家族を思い戸惑いを感じながらも家族を守る収入を得るために踏み込んでいきます。


四郎が狙う真実は常に危険と隣り合わせ。そして納められた映像自体も時に過激で、時に残酷すぎて報道のラインには乗らない場合さえもあります。それでも四郎は衝撃的な映像を追い求める。行動を共にしながらも、Jソンにとっては理解が及ばない世界。しかし平行線かと思われた2人の世界にも「家族」という大切な存在がいるという共通項があり、似ても似つかぬ生き方ながらどこかで魂を通わせて仕事をこなしてきます。


”映像を撮る”とだけ聞くと地味な響きになりますが、緊張感のある展開と人間模様、それにまつわる葛藤…一話一話に凝縮された面白さが濃いです。四郎とJソン、2人をメインに据えることで向こう見ずな過激さと穏やかさを失いたくない不安感を持った両面で物語を追うことが出来るというのは強いです。これは実に、大人が熱くなれるエンターテイメント。掲載誌の対象世代を見事に打ち抜く作品といえるのではないでしょうか。プリンセスGOLDの『COLD RUSH』ではシッカリ少女マンガしていることを考えると米原先生の幅広さとプロ意識を感じます。こういった米原先生のプロ意識が”アブサード”の仕事意識に通じている気もしますね。


掲載誌自体はマイナーですし人によっては手に取りづらい誌面でもあるのですが、こうして単行本が無事出版されたことが何よりもありがたいです。やはり秋田書店に米原先生の作品は欠かせない存在だとしみじみ実感しました。