『ねじまきカギュー』中山敦支/週刊ヤングジャンプ連載中
予備情報があまりない状態で自分好みの漫画に出会えると本っ当に嬉しくてガッツポーズしちゃいますよね。そんな作品に出会えました。
中山先生の作品は、ミラクルジャンプで読み切り作品を読んでそれがとても面白かったので『ねじまきカギュー』も単行本が出たら買おう!とは思っていたのですが、予想を遥かに上回るどストライクぶりに泣きそうになってしまいました。わたしが大好きな漫画の要素をこれでもかというほどぶち込んでかき混ぜて、オーブントースターでこんがり焼いたような漫画でした。これはたまらん。


ナチュラルボーン女難体質の新米高校教師・葱沢鴨先生は今日も今日とて怪物系女子に好かれて大変な目に。そこに突如現れたのは「鉤生十兵衛」と名乗る拳法家。「先生を護る為に転校してきた」と言いすさまじい強さを発揮する一見少年のような拳法家、その正体は葱沢の幼なじみの少女・カギューちゃん。幼き頃にいじめられていたところを葱沢に助けてもらっていたカギューちゃんは10年前中国に引っ越し”螺旋巻拳”という拳法を体得して強くなり、先生となった葱沢を護るべく日本に帰ってきたのでした…!見違えるように強くなったカギューちゃん、だけどその中身はハイパーピュアな少女のまま。葱沢を狙う(?)怪物女子たちとカギューちゃんのバトルの行方は!そして葱沢とカギューちゃんの仲はどうなるのか…!ピュアだからこそ狂気、狂気だからこそ純愛なバトルラブコメです。


長年生きてきて最近ようやく自覚したのですが、わたくし女の子バトルコメディが大好きなようなのですよ。元々「個性的な女の子がいっぱいでてくる漫画」は大好きなのですが(先日そんな記事も書きましたが)コメディ前提の女の子バトルものも物凄っく好きなのだなー…と。『桃魂ユーマ』とか『すももももも』とか『世界の孫』とか。広義でいえば敬愛する渡辺航先生作品や、もりしげ先生作品もその系統です。それを自覚したところにどストライクな作品に出会えてしまったものですから感激もひとしおというわけです。


ポップな絵柄で迫力のバトルアクション、ってだけでもタマラン見応えなのに抽象画がそのまま顔に出たような表情の描写がとにかくすっごいですね。「人間」としての形態が崩れている一方でこの上なく「人間」らしい。だからこそ愛らしい表情は通常の300倍くらい愛おしく感じるのでしょう。メリハリが強い、というよりはずっとハリなのだけど。別方向に強いハリの連打。


そして兎に角カギューちゃんかわいい。あまりにも可愛いけど、それが強いウリなのだろうに表紙・裏表紙には一切そういうのが出ていないのだなあ…と考えた末、未読組が実際に読んだ際のインパクトやときめきを一層強くする為であろうと気づきハッとしました。うまくできているなあ。
カギューちゃんはひたすらまっすぐで純粋なほんっとうに良い子です。超乙女。恋のライバルですら魅了するほどにその想いは美しい。ひたむきで強くて、強いからこそ乙女心は複雑だけどカギューちゃんは超かわいいから超しあわせになってほしい!超!


カギューちゃん以外の女子たちもクレイジーだけど可愛いし読んでいて幸せです。困難に立ち塞がれまくりだけどカギューちゃんの想いにも葱沢先生の信念にもブレがないから読んでいて安心できます。ふしぎと。いやあこれは面白い。「自分好み」と「面白い」が両方最高レベルだー。