『弱虫ペダル』渡辺航/週刊少年チャンピオン連載中

いつも通り特典付き単行本を買いあさりに秋葉原へ行きまして、アニメイトで『弱虫ペダル』イラストのクリアファイルも購入して参りました。まさかこうして往来で渡辺先生作品のグッズが販売されるようになるとは…。近頃ますますその人気に驚かされています。
当ブログの毎週のチャンピオン感想を読んでくださっている方であればご存知かとは思いますが、インターハイ2日目の展開については少々気持ちが揺れておりました。ただ17巻の感想でも述べた通り、誌面で追っているときと単行本で改めて読むときではまた多少印象が違ってくるもので…ええ、何だかんだ言っておいて今回も心にグサグサ突き刺さってきましたとも、泣きましたとも、ああもう!渡辺先生が描く漫画が大好き!


インターハイ2日目のラストスパート。孤高の勝利追及者・御堂筋と昨年のIH2日目での記憶が蘇る金城・福富両主将のトップ争い。因縁との決別という意味合いも込めた福富の猛烈な走り、そしてそれに応えた上で真の勝者の座を射止めるべくチームの想いを背負う金城。2人の闘いはそれはもう壮絶で、大変な熱さでした。福富にとっては禊ともいえる対決。しかしそこには悲壮感も、憐みも、同情もない。その対決自体は非常に純粋なもので、胸がすくような爽快感がありました。結果を二の次にしたとしても2人ともが「強者」であることに間違いはありません。


一方の御堂筋。独走状態に突入する彼の脳裏に駆け巡る記憶は誰もが想像だにしなかった哀しみに満ちた過去。ここまで、何もかも捨てる覚悟を持ってまで御堂筋が「勝利」に固執するようになった理由とは。…「不気味」という言葉を体現するかのような存在であるはずの御堂筋少年が愛おしくて泣けて仕方がないです。その過去によって御堂筋少年が「豹変」したわけではなく、元々異端の存在であったからこその切なさが描かれているところに渡辺先生の表現力の凄みを感じます。
正直なところ、この回想をこのタイミングで挟む意味についてはずっと疑問を抱いていましたが単行本を読んで少し理解出来た気がします。御堂筋自身が理解していたはずの「純粋」さに出来た少しの歪み。勝利への執着の、それに由来する信念についた傷…。異なる想いを抱く強者たち。悲喜こもごもの結果を迎え2日目が終了します。


御堂筋過去回想辺りに関しましては、連載時にいてもたってもいられず書いたこちらのエントリ
『弱虫ペダル』 小野田坂道と御堂筋翔~最も近くて、最も遠い2人
もご参照いただければ幸いです。そして私自身この後の展開に喜び打ち震えたことも追記させていただきます。


本編とは全く関係のないことなのですが、連載150回を迎えた際のカラー扉が18巻の扉絵としても収録されています(単行本ではモノクロですが)。
雑誌掲載時のカラーを一部抜粋してご紹介しますが、
2011070901400000
坂道たちの前を歩いているのがどう見ても『まじもじるるも』のるるも(左)!なんですよね。ステッキといい、スカートの裾といい。以前、『まじもじるるも』作中の漫画として『弱虫ペダル』が登場したことはありますが『弱虫ペダル』と『まじもじるるも』のキャラクターが同次元に存在している描写はこれが初めてだと思います。現在『まじもじるるも』は魔界編に突入しており、これが、もう、本当に筆舌に尽くしがたい驚愕の展開が続いておりますのでペダル読者で未読の方は渡辺先生の漫画の凄さをさらに知る為にも『るるも』も読んでいただきたいところでございますよ!
(というかいまだに右が誰なのかわかりません…見覚えはある服な気がするんですけれども)


過去エントリ
そして彼は覚醒する 弱虫ペダル 1巻/渡辺航 - 漫画脳
気弱な少年の決意 弱虫ペダル 2巻/渡辺航 - 漫画脳
純粋という名の速度 弱虫ペダル 3巻/渡辺航 - 漫画脳
その時誰もが惹かれることを止められなかった 弱虫ペダル 4巻 - 漫画脳
上へ上へと…登るしかないっショ 『弱虫ペダル』5巻 - 漫画脳
それぞれの想い、それぞれの絆 『弱虫ペダル』6巻 - 漫画脳
全身全霊、5人のゴールスプリント 『弱虫ペダル』7巻 - 漫画脳
漫画脳:繋ぐ力、支え合う力~ほのぼのもあるよ! 『弱虫ペダル』8巻(渡辺航)
漫画脳:インターハイ開幕!疾走感、御堂筋、そして腹筋(アブ)へ… 『弱虫ペダル』9巻(渡辺航)
漫画脳:引き継がれていく熱い魂 『弱虫ペダル』10巻(渡辺航)
漫画脳:チームのために。自分のために。 『弱虫ペダル』11巻(渡辺航)
漫画脳:何者にも干渉を許されない関係がある 『弱虫ペダル』12巻(渡辺航)
漫画脳:強者の信念、三様 『弱虫ペダル』13巻(渡辺航)
漫画脳:彼は理屈を欲しない 『弱虫ペダル』14巻(渡辺航)
漫画脳:心理戦の限界を超えた先に 『弱虫ペダル』15巻(渡辺航)
漫画脳:捨て行くものと信じるもの 『弱虫ペダル』16巻(渡辺航)
漫画脳:”チーム”の形は一つじゃない 『弱虫ペダル』17巻(渡辺航)

『弱虫ペダル』・坂道から消えたのはオタク魂ではなくて
漫画脳:描き文字に見る、渡辺航先生イズム
『弱虫ペダル』 小野田坂道と御堂筋翔~最も近くて、最も遠い2人