チャンピオン感想以外の更新が殆ど出来ていなかったので…と溜まりきったネタの中で先ずどれから消化するか迷った挙句、数か月前に読んだままだったこの作品について書くことにしました。
タイトルは『24日は送別式』。
作者は渡辺航先生、18歳!!
そうです、この作品が描かれたのはもう22年も前。学生時代の渡辺先生が描き、第31回赤塚賞佳作に選出された作品です。
そもそも私がこの作品を知ったきっかけはある日何気なく覗いた渡辺先生のウィキペディア記事。いつの間にか受賞作や読切についてのデータが非常に詳細になっていて、熱意のある記事編集者様に感服すると共に「これはぜひ読んでみたい!!」という欲が高まったのです。他の作品も気になりましたが、記事内に明記されている中ではもっとも古い作品ということもありこれが収録されている『めざせ漫画家!手塚・赤塚賞受賞作品集5』をまっさきに入手いたしました。渡辺先生の他には、あんど慶周先生が「安東慶周」名義で掲載されていたりします。
この『24日は送別式』という作品の主人公は意外にも少年でも少女でもなく、「崎 三郎」という名の体育教師。29歳独身、という設定ですが正直なところ、実年齢よりもオッサンっぽい外見です。
熱血、豪快な体育教師である崎先生にある日突然告げられたのは、意中の人である明子先生の結婚退職。校長から彼女の門出を生徒たちの人文字で祝ってほしいと言われるも、ショックでやさぐれ、生徒たちに当たり散らす崎先生。そんな彼を見て校長は…。
渡辺先生は最近でも『ドラゴンボール』からの影響をよく語られていますが、この頃から自己紹介欄では尊敬する漫画家に鳥山明先生を挙げられています。しかし作品を読んだ印象では前半のシュールな笑いやキャラクターの味わい深さにどことなく高橋留美子先生の影響を受けているのではないか?と感じさせる節がありました。あくまで推測ですけれどもね。
画風は今の絵柄とも、『サプリメン』~『制服ぬいだら♪』頃の絵柄とも一切かけ離れた絵柄で荒削りなタイプ。何よりも、女の子に意外なほどこだわりを感じませんでした(笑)。…可愛くないわけではないのですが、どちらかといえばものすごくシンプルなのです。顔のつくりなんかは、わたせせいぞう先生の絵を粗くしたような印象。
どちらかというと主人公の崎先生や校長先生のような中年顔~壮年顔に力が入ってるくらいで…驚きの連続です。
作風といい絵柄といい、今とはまったく違うのでいつごろから真っ当な少年漫画らしい『サプリメン』のような方向性に切り替わったり、女の子キャラに力を入れるようになったのか…というのも興味深いところではあります。
さて、校長からの熱いメッセージに何かを吹っ切った崎先生。なんと人文字で明子先生に対して愛の告白を決行します。利用されたと知った生徒たちに揉みくちゃにされ、ボロボロになりながらも明子先生への想いを貫いた崎先生は、最後には生徒たちに拍手で認められます。泥臭くてみっともないかもしれないけれど、不器用な崎先生が最高にカッコ良かったです。
元々は反抗してた不良君が崎先生へのエールを送る場面がまた最高なんですよ。片想いキャラの心の強さや、サブキャラの活き活きした描き方は現在に至るまで通じる部分でもあるのではかな…?と半ば強引ですが考えてみたり。
構成や物語の展開や締めに至るまで、漫画作品としては荒削りながらも安定していました。いや、贔屓目ではなく(笑)。ずっとお面や瓶底メガネをかけておどけていた校長が最後に素顔を見せるところなんかもさりげなくキュンとくる演出です。
ただ、ジャンプに載せる作品として考えるとどうか?といったところですね。審査員の先生方からの寸評でも「若々しさ」を求める声が多かったです。というか若干18歳の少年が描いた漫画とは思えないほど渋い作品でした!メインキャラは教師たち、ですし。
今の渡辺先生の作品からは想像がつかない作品でしたが、ずっと昔から渡辺先生が描いていた漫画はやっぱり面白かったんだ!ということが分かって嬉しい出逢いでした。
その後の作品もなんとか入手してご紹介出来ればいいなと思います。渡辺先生大好き!
~おまけ。~
あ、主人公は自転車乗ってたよ!

関連過去記事
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