『ニッケルオデオン』道満晴明/IKKI連載
『ぱら★いぞ』以来約一年ぶりの道満晴明先生の単行本です。(『ファントムブレイブ』の新装版も出ていますがあれは純然たる新刊ではないということで…。)
快楽天で”4コマ枠”担当となってしまわれた今、エロ非エロの差はあれども昔ながらの道満先生らしいショートが毎月楽しめる『ニッケルオデオン』は貴重な連載です。連載だけどショート読切。読切だけど少しずつ繋がってる。そんな13編が収録されています。
オビには「ヘンなお話、ここにあります。」と書いてありますが、お話がヘンというよりは設定やシチュエーションがヘンなんじゃないかな、という感想です。常識が違えばお話もヘンに見える。けれど描かれるキャラクター達の意識はそうも現実離れしていないんじゃないかな…。
指先の赤い糸が、好きな人に繋がっていないから手首を切り落とす。ふられた女のコが髪を切るようなテンションで。死ぬほどありえないお話なんだけど、好きな人と結ばれないと運命づけられて否定したい乙女心と、その結果を意中の彼に見せつけるしたたかさは案外等身大の恋する女のコらしいのではないかな、と思ってみたりもして。
道満先生の作品は、ちょっぴり変わった形をしたニンゲンとニンゲン以外の存在が多く登場する割に喋り言葉が妙に俗っぽい、というのも現実離れしていないと感じさせる原因かもしれません。虎が女子高生を「JK」って呼んだり。…虎がJKと喋るというシチュエーションのヘンさと、出てくる単語の俗っぽさ。それらが合わせ技になっているから、よりヘンに見えるのかも?
この『ニッケルオデオン』連載第2回がBLでしたよ、という話は以前記事にしているのですが、快楽天のような「エロ漫画誌」で連載していたショートと『ニッケルオデオン』で確実に違うのはメインのキャラクター設定がエロ漫画の枠にとらわれずに済むこと。道満先生の描くエロも大好きですが、このフィールドでなければ(道満先生世界の)男が男に恋する話は読めなかったと思うのでIKKIという雑誌の自由さには非常に感謝してます。
今回たとえとして出したものはコイバナものばかりですが、不安になるホラーなお話もありますし本当に「なんでもあり」です。グロ系描写や下ネタも平常運行、だれにでもおすすめとは言い難いですが道満先生作品にまだ触れたことがない人の入門編には適した一冊ではないかと。
それにしても装丁がおしゃれでうれしい。ただ、カバーの紙質のせいかカドが折れきれてなくてふわっとしちゃうのがタマにキズです。
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