『木曜日のフルット』石黒正数/週刊少年チャンピオン連載中
1年半ぶりの2巻!!
チャンピオン読者にとっては毎週おなじみの『木曜日のフルット』ですが、単行本刊行はとってもおひさしぶりとなりました。いかんせん、毎週2ページ。3倍でも6ページというページ数なので1冊にまとまるにはかなりの時間を要しますがひさしぶりに読むと「ああ、こんなネタあったっけなあ~」と改めて楽しめるのでそう悪いものでもありません。確実に出さえしてくればね…!(チャンピオン読者にありがちな叫び
しかし毎週2ページ、と言うのは簡単ですが毎週この2ページ間で話を組み立てて完結させる、そして作品のクオリティを保ち続ける、というのは相当大変なこと。そして『フルット』の本当に凄いところはそれを「大変そうだなー」とは見せないところ、だと思います。
あくまでゆるく、フワッとクスッと!というのが売り文句ではありますが読んでみるとほんとにほのぼのとした日常会話だけで終わる回もあれば、言葉遊びが折りこまれた回、教訓が描かれた回、社会問題に切り込んだ回などさまざまです。時には規制問題、政治の問題を風刺した話もあるわけですけれどその元ネタがわからなくても読めるしなんとなくフワッと楽しめてしまうのが『フルット』なんです。
たとえば節分のお話。
豆が苦手なことを長年弄られ続ける鬼さんや、見た目よりも年嵩ゆえに歳の数だけ豆を食べさせるのが苦痛なエルフさんの苦情により、規制が敷かれて節分がなくなるかもしれない。その条例案は「異世界青少年健全育成条例」…。
当然、元ネタは例の条例です。とはいっても、お話自体は節分のおこぼれで豆が食べられなくなるのは困るとフルットたちが怒る、というオチなので別に規制問題を気にしてない人でも、知らない人でフルットたちの他愛のない会話として読めてしまうハズです。そこはやはりフルットたちネコといい、鯨井先輩たち人間といい、キャラクターが立っているというのは強みだと思うのです。
『木曜日のフルット』には、いうなれば新聞の4コマみたいな空気があります。2ページで描かれる世界の中には人間関係があり、社会があり、季節が流れています。毎週チャンピオンの巻末でフルットたちに出逢える安心感っていうのはとても大きいし尊いです。
ちなみに、『フルット』には結構チャンピオン作品の小ネタが登場することがあります。ゲームの中に登場するバイト先の先輩が『クローバー』の竹下さんだったりしますし、「ネコラップ」の回は直接絡んではいませんが当時掲載された読切『MCニコ』の影響で描かれたネタだったんですよね。
やっぱりそれがわからなくても楽しく読めちゃうのが『フルット』なんですけれども、理解できたときの嬉しさ・楽しさが味わえるのはチャンピオン読者の特権だと思っています。うふふ。というわけで、『木曜日のフルット』をさらに楽しむためにせっかくだから読もう、週刊少年チャンピオン。
過去エントリ
漫画脳:ゆるふわかわいい!それでいてコクがある! 『木曜日のフルット』1巻(石黒正数)
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