『ひとりぼっちの地球侵略』小川麻衣子/ゲッサン連載中
久々の表紙買いシリーズ(?)。暫く積んでいたのですがようやく読みました。面白かった!
新高校一年生の男子、広瀬岬一。
入学式に向かう彼の前に、突如見覚えのない謎の仮面を被った女生徒が現れて「お前の命を、もらいに来た。」と宣告されます。まったく身に覚えのない岬一。しかし彼女に触れられてから、胸にあったはずの幼少の頃の傷が消えている。その少女が2年生の大鳥先輩という変わり者と知り、自分に何をしたのか問い詰めに行くと”10年前に宇宙船団が大挙としてこの街に訪れた騒動があり、その中で死にかけた岬一に宇宙からやってきた自分が新しい心臓を与えた”という信じがたい話が語られます。大鳥先輩は岬一から心臓を奪い返そうとしたものの、岬一自身の身体が心臓と同化したことを知ると一転し、自分の仲間となれと告げるのでした。
普通の人生をあゆんできた岬一にとっては到底納得できる話ではなく、一度はそれを突っぱねて帰宅します。
岬一には祖父がいて、祖父の営む喫茶店を継ぐのが夢。しかし高校生となって、その夢のために一歩踏み出すことを決意したその時、突然姿を現した宇宙からの生物兵器に祖父が飲み込まれてしまいます。動転する岬一の前に現れたのは大鳥先輩。祖父を助けるために何も出来ない岬一はすがる思いで大鳥先輩に助けを求めます。そして彼女は交換条件としてこう岬一に笑顔で返すのです。
「二人で一緒にこの星を征服しましょう!」…と。
かくして地球を征服する宇宙人の仲間となってしまった岬一。
大鳥先輩は確かに強いものの、侵略者という前提以外でも祖父を助けて欲しいと懇願したときの態度などは非情に感じられる部分がありました。
しかし大鳥先輩自身が故郷の星でも生まれた時から家族も友達もなく育てられ地球に送り込まれたまさに”ひとりぼっち”の侵略者で、岬一は初めてにして唯一の仲間であることが明らかになり、そもそも家族や大切な人に対する感情を理解しえない環境に居たことが分かり始めます。
それでも、純粋に素直で家族思いな岬一が祖父を目の前で救ってくれたことをきっかけにまっすぐ目を見て「信じたい」と伝えてから、大鳥先輩も変わり始めていきます。
大鳥先輩とその星が抱く「地球侵略」の真意すらわからぬままに2人で過ごすことが多くなり、とはいえすることといえば2人で読書をするくらい。祖父を襲ったような脅威も訪れず、一見平穏な日々。しかしその裏では大鳥先輩が自分の手にした仲間との日々という幸せを守ろうと無理をしていたという事実が…。
このエピソードを1巻のラストというのが実にすばらしいところだと思います。得体の知れない謎の仮面女として登場した大鳥先輩。正体がわかっても人間離れしていて(人間じゃないから当然ですが)変わり者なままではありますが岬一と共に過ごし始めて仲間のいる幸せを知り、でもその幸せを守ろうとするには実はものすごく不器用で。はっきりいってムッチャクチャ可愛いです。ずるいわー!
そんな大鳥先輩に言葉を選んで伝えようとする岬一もほんとうに良い子で。大鳥先輩の仲間になったのが岬一でよかったと思えます。いいコンビ。
地球侵略という本題に向かってはまったく動いていないのですが、すごくまとまりの良い1巻だったと思います。岬一の家族のことや、将来に対する想いなども丁寧に描かれていいて。これからどう転がっていくのか楽しみな漫画です。
個人的には絵柄、ペンタッチがものすごく好みなんです。やわらかまるっこくて優しい。この絵柄で描くバトルシーンもギャップがあって格好良いですね。絵自体が似ているわけじゃないんですがちょっと岩岡ヒサエ先生の描き出す世界感に近いイメージです。
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