『それでも町は廻っている』石黒正数/ヤングキングアワーズ連載中
おおよそ一か月遅れですが『それ町』10巻の感想です。
やっぱり安定して面白いなーということでメモがてら。


『それ町』は時系列がバラバラで過去へ未来へ飛び飛びで描かれていることがひとつの特徴です。しかし紺先輩と折り合いが悪かったクラスメイト(5巻 第38話「俺たちは機械じゃねぇ!」より)たちと距離が縮まる場面がこの10巻で描かれていることで、作中の時系列はバラバラだけれどもそれぞれの成長や人間関係の変化などは読者が順を追って読めるように配置されているのだなあ、とあらためて感心させられました。
「メグッピ」というあだ名を紺先輩が覚えていたのも38話の会話で彼女自身が自分の事をそう呼んでいたからですよね。重要なことであれ些細なことであれ、石黒先生の「後で効いてくる」描写力というものにはいつになっても何度でも唸らされてしまいます。
この場面が描かれている第77話「巣」は体育祭のお話で、歩鳥自身は紺先輩想いの機動力がまったくむくわれないのがちょっぴり気の毒な回ですが、常日頃からもっとも歩鳥が気にかけている事でもある「紺先輩の孤立」が緩和されているという点ではそのがんばりが実を結んだ回といえなくもありません。それにしても走る紺先輩は確かに格好良かった。対戦相手の男子が「鎌瀬=かませ」君なのがあんまりですが!



いっぽう時系列順ではない分謎が残る回もまた存在しています。
第78話「Detective girls 2」ではタッツンが歩鳥相手に
「世の中にはそのあんたを想ってる人もいるんだからちょっとは自信持ちなよ」
と意味深な台詞を残しています。この台詞から察するに、この時タッツンは真田が歩鳥に好意を寄せていると知っている可能性が高いです。その前日にタッツンと真田が2人で試験勉強をしているので、この後にタッツンが真田に告白したのだろうか…?などと勘ぐってしまいます。そう思って読むと普段よりも憂いを帯びた表情をしながら歩鳥と話しているようにも見えます。さらにこの回はタッツンの右頬にできたニキビの俗称でオチが付く為…。
といってもこの回の主題からすればまったく重要でない部分でもあるので、結局は深く言及されないままです。タッツンが真田を好きで、しかし真田が好きなのは歩鳥であるという部分は『それ町』のバランスを保つ大きな要素のひとつ。そのバランスが崩れた後だとしてもはっきりとは明言しないままにして今まで通りの日常として成立させるというのもすごい。まさに『それでも町は廻っている』というタイトルが相応しいです。



そんな感じで書き綴りつつも10巻でいちばん好きなのは第81話『歩鳥ファーストキス』かな!
ファーストキスってそっちかーい!という感じですが!真田君と歩鳥の絡みはやっぱり可愛くて大好き。でも本当はそろそろジョセメインが見たい…!



関連過去エントリ
『それでも町は廻っている』1-2巻(石黒正数)
『それでも町は廻っている』3-4巻(石黒正数)
『それでも町は廻っている』5-6巻(石黒正数)
漫画脳:コドモの世界も廻っている。 『それでも町は廻っている』7巻(石黒正数)
漫画脳:嵐山歩鳥、主人公たるその所以 『それでも町は廻っている』8巻(石黒正数)