『ハイスコアガール』押切蓮介/ビッグガンガン連載中
何故か1巻に引き続き2巻も大変な遅延感想になってしまったのですが(読むのは発売日に読んでるはずなのに…)やっぱり書きたいので!書きます。
中学生になったハルオは大野さんがいなくなっても相変わらずのゲーム三昧の日々をおくっています。そんなハルオのアホ全開な日々を見つめる一人の少女が…。


ハルオとは同じクラスの日高小春さん。ハルオと真逆で真面目な彼女は勉強ばかりの学生生活を送ってきて、特別親しい友達などもいないようす。そんな彼女は奔放に遊び、ゲームのことになると熱心なハルオの自由さに徐々に惹かれていきます。
何の因果か彼女の自宅が営んでいる小さな個人商店にMVS(=マルチビデオシステム…ネオジオのゲームが4種類入っている筐体)が導入され、ゲームが出来る場所と機会をひたすら欲しているハルオとは顔を合わせることも多くなります。
ゲーセン等にも共に足を運ぶ機会があり、ハルオにせっつかれて日高さんもゲームをプレイすることもありますが彼女にとってはやはりゲームは異次元のものであって。ゲーマーのハルオにとっては驚愕ものである「初見の龍虎の拳で龍虎乱舞発動」「初見のモータルコンバットで究極神拳発動」のようなスーパービギナーズラックを繰り出すこともありますがそれでも彼女にしてみればゲームは「自分のもの」ではなく「矢口君(ハルオ)の(好きな)もの」という目線なのがすこし切ないです。目の前にゲームがあって、それを遊んでいるはずだけれど同じものを見ていないことが。これはゲームをする日高さんの姿にハルオが大野さんの面影を感じるその視線に「私の事なんて全然見てない」と胸を痛める、日高さんがこの作品において現段階では他の追随を許さないレベルのラブコメ性能をもっているが故の切なさとはまた別。ハルオ自身は日高さんに(きちんと日高さん相手として)ゲームを薦めていますが、日高さんがハルオの望むように心からゲームに興味を持つこともまたないのです。もしも、本当に心から「ゲームを楽しみたい」という気持ちで日高さんがそこへ歩み寄っていたのであれば二人の関係はまた違っていたのかもしれない。その努力や何かではどうにもできない部分の擦れ違いが胸にチクリと刺さります。



そんな悲しき並行線の日々を自覚なきまま送るハルオの元に、ついに帰国した大野さんが現れる時が訪れます。
かねてから本物であった彼女のゲームの実力はさらに磨きがかかっていて、その日はリリースされたばかりの『スーパーストリートファイター2X』で104連勝という大記録を樹立中。ついにこの日が来たと言わんばかりに対戦台にコインを投入するハルオですが…。
その後ひょんなことからファイナルファイトの共同プレイをすることになった2人ですが大野さん操るハガーは回復アイテムを奪ったりハルオ操るガイを攻撃したりとあてつけのようなプレイを繰り返します。大野さんの心のうちはわかりませんが、無口である意味では不器用な大野さんのこのプレイは女の子らしい駄々をこねている姿にも見えました。つまりこのハガーは可愛い女の子なのだと…!いうには若干無理がありますが…こんなむくれ方できるのも大野さんだからですよね。



しかし、当時ゲーセンに通ったりゲーメストを読み始めた時期だった同世代読者のわたしからすると「いつまでもスト2の新作ばかりで3は出ないのか」という期間の疑問を「スト2が徐々にシリーズを重ねつつ俺と大野の因縁対決の決着を待っててくれてるようだから」と結びつけたところには脱帽です。
それと直接本筋と関わる部分ではないですがハルオが日高さんをアーケード版モータルコンバットに導いたときはえもいわれぬ不安と興奮にかられましたね…中学生の普通の女の子に見せていいものじゃない気がして!わたしはモーコンはプレイしたことはないのですが…あっ、『大江戸ファイト』はちょっとだけやってました><



ハルオにとっては大野さんは良きゲーム仲間、対戦相手という部分の方が大きいようですが大野さんの想いはいまだはっきりとしない部分もあり、そこに完全なるラブコメ体質である日高さんが加わったことでこの関係がどうなっていくのか気になるばかりでございます。そしてこの『ハイスコアガール』は登場するゲームや時代背景などで押切先生の描く自伝的作品『ピコピコ少年』シリーズとリンクする部分が強い作品ですがこのまま高校生になると押切先生の場合『ToHeart』に心血を注ぎ「俺のBrand New Heartは何処に…」と心の中で呟いたり、秋葉原でエロ同人誌を発掘したりなさっているので色んな意味でハルオがどう成長していくのかが気になります!そもそも高校生編まで続くのかはわかりませんが…。


漫画脳:場末のゲーセンは90年代の秘密基地 『ハイスコアガール』1巻(押切蓮介)