『バーサスアース』一智和智+渡辺義彦
チャンピオン久々の新連載単行本ラッシュがこの冬押し寄せてます!わーい!テンションあがってきた!
個人的に最近のチャンピオンでかなり上位で楽しみにしているのが『バーサスアース』です。祝1巻発売。作画の渡辺義彦先生は2009年に読切『アフロボマー』で本誌デビューした際にその実力(絵の上手さとか婦警さん可愛いとか)を評価されていた新進気鋭の作家。ベテラン作家の一智和智先生とのコンビは意外なほどに相性が良いと思えます。


将来の目標もなく、日本の未来に希望も持たず毎日を過ごしていた高校生、寺鐘ハルト。
ぼんやりと考え事をしながら歩いていると、ハルトは巨大なカナヅチを持つ女性、という非日常的な光景を見かけます。そんなことを話のネタにしつつも、いつもの仲間といつものファミレスで駄弁る退屈な日々の中でもかけがえのない時間。しかしそんな当たり前の幸せが、突如得体のしれない「柱」の出現により打ち砕かれます。
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店内にそびえ立った目玉を持つ柱…「深柱」に目の前で友人を焼き殺されるハルトと幼馴染のカナ。混乱、驚愕、そして絶望する彼らの前に現れたのは、ハルトがここに来る際に見かけた巨大なカナヅチを持っていた女性たち一味。彼女たちは研究された武器防具を身に着ける対「深柱」のための存在でした。


平凡で退屈で、自分が何かを出来るとは思っていなかったハルト。さらに日常を壊され非現実的な現実に直面した時、彼は自分の脆さ・弱さを思い知ります。
足をケガしたカナを見て、一瞬でも”カナを置いて自分だけで逃げれば助かるのではないか”という考えが過ってしまったハルト。そんな自分を疑うこともなく、足手まといになる自分を置いていってくれと願ったカナ。ハルトは自己嫌悪に身を苛まれながらも、「期待できない自分」を捨てて自分を信じてくれたカナだけは己の手で助けることを心に誓います。
そして苦戦を強いられていたカナヅチを武器とする女性…玲央と共に深柱を打ち倒すことに成功したハルトですが、その額には深柱の破片が刺さってしまい…。


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生死の境目でハルトは深柱の持つビジョンを見せられます。深柱…それは穢された地球の怒りによって形成された大自然の驚異。深柱の真意を見せられ、命の危機に曝されながらも、ふたたび自分を信じてくれた幼馴染の存在に奮い立たされたハルトは…自分たちを襲った深柱を自らの一部に取り込んで立っていました。


怒りを振り撒く地球、そして対する人類の意地。
その2つの融合体として立ち上がってしまった寺鐘ハルト。
初回では「無気力系な主人公が巻き込まれるパニックホラー」になるのかと思っていたのですがホラーというよりは能力バトルでもあり、それを通して人間の苦悩を描く作品でもあります。良い意味で裏切られている感。
地球に生きるしかない人類がどうやって地球と闘うのか?どうやって生き残るというのだろうか?いまだ到達点は見えてこない巨大なテーマですが、この先が本当に楽しみです。