『七つの大罪』鈴木央/週刊少年マガジン連載
いや~、読みやすい。
鈴木央先生作品はチャンピオン連載の『ちぐはぐラバーズ』から触れた新参ですが、他の作品も読んでみたいと思っていたので渡りに船な新作発売でした。
どうも自分はファンタジーものは苦手と思っていたのですが、この『七つの大罪』はそんな自分でもまったく読みにくさを感じなくて素直に楽しいです。


かつて王国に仕えた身でありながら王国転覆を謀ったとされる「七つの大罪」と呼ばれる騎士団。10年経った今でもなお王国の英雄「聖騎士」から捜索されているものの、誰ひとりとして彼らの行方を知るものはいない。
一方、国を守る存在であるはずの「聖騎士」は国王を拘束し、戦を始めようとしていた。それを阻止するために「聖騎士」への対抗手段の望みとして「七つの大罪」を単身捜していたエリザベス王女。あてもなく行き倒れそうになった彼女を救った一見少年のような姿の移動酒場の主人…彼こそが「七つの大罪」の一人、”メリオダス”だった。


かくして散り散りになった「七つの大罪」を捜すたびに出るメリオダスとエリザベス王女、そして喋るブタのホーク&酒場<豚の帽子>亭を乗せて移動する巨大ブタのホークママ。
なぜ10年経った今もメリオダスは少年のような姿のままなのか。
そもそも、七つの大罪として追われる身になったのは何故なのか。
1巻の時点で明かされていない設定上の謎は相当多く、聖騎士の実態や七つの大罪の過去など暗い影を感じさせる部分もありますが、飄々としていてスケベなメリオダスと愛らしいツッコミ役のホークを中心とした軽妙なやりとりが主軸となっており、「壮大なファンタジー」であることを忘れてしまうほどサクサク楽しく読めてしまいます。


自分が「ファンタジー苦手」と思いがちなのは、その世界観やら何やらの壮大さに萎縮してしまったり、専門用語や独自の設定を理解するのがしんどかったりするからだと思うのですが、そういう意味ではこの漫画はほどよく壮大さが抑えられているから読みやすいのかな、と。
あんまり設定を事細かく把握していなくても楽しく読めるけれど、ふと伺わせる奥深さも本物で。表面上も、その裏も凄く丁寧。描き手の技量を感じさせます。なんというか、自然体で。壮大だろ?奥深いだろ?ってドヤ感がなくて。読者を疲れさせない。


ファンタジーもの苦手と今では思ってしまう自分も昔は(ファミコン~スーファミの頃は)ファンタジー系RPGが好きだったんですけれども。『七つの大罪』の面白さは序盤で村規模・町規模の事件解決レベルのイベントから段々こなしつつ、最終的には巨悪に向かっていくため成長していくバランスのとれたRPGのような、その世界観を理解するのに無理がない面白さだと思いました。
あと、この作品に限ったことではないのかもしれませんけど、やっぱり鈴木央先生の作品のキャラクターメイク力は強力だと思いました。嫉妬深い巨人少女とか、超可愛いんだもんなー。
苦手意識を砕いてくれる作品に出逢えるのはとても嬉しい事です。これからが楽しみ。