ついにインターハイ後の新展開に突入!!な『弱虫ペダル』28巻です。
表紙は坂道と…2年・手嶋純太!
個人的には、超待ち望んでいた新展開ですよぉぉぉ…!
インターハイでは見事優勝を飾った総北自転車競技部。
3年生の部活引退まではまだ時間があると思われていたある日…突然その別れはやって来ました。
海外の大学に進むことになった巻島先輩が提出した退部届。
唐突にやって来た別れの時に揺れる総北メンバーたち。
その中でも最も動揺を見せたのは、やはり同じクライマーである巻島先輩に強い憧れを抱き、影響を受けてきた坂道でした。
インターハイでの優勝と周囲からの期待、真新しく慣れない自転車、そして支えであった先輩との別れ。
数か月前までずぶの素人であった坂道に、数々のプレッシャーがのしかかります。
坂道がふと一人の殻に入ってしまった時に心の奥底から目覚めてきてしまう弱さ。
それでも「強くあろう」と力を振り絞ろうとする坂道を柔らかく受け止めたのは―…新主将・手嶋でした。
合宿のレースで一年生に敗北を喫し、インターハイに出場出来なかった2年生コンビ手嶋・青八木はその間も地道に練習を続けて着実に実力を伸ばしていました。
徐々にスプリンターとしての才能を開花させつつある青八木に比べ、才能では劣る手嶋。
彼は自らを「オレは弱い」と言い切ります。
弱い。才能はない。一年生にレースで負けて、インターハイにも未だ出場が叶っていない。
それでも。
それらを全て認め、自分自身を伸ばす努力を怠らない。
そして手嶋主将は坂道にこう言います。
「休んだっていい
悩んだっていい
小野田
それさえ進むってことなんだ
信じろよ
光は必ず射す」
…作者・渡辺航先生のインタビューを少し引用します。
「あのレースの時、僕はものすごく2年生に感情移入しちゃったんですよ。
『凡人頑張れ!』『坂道に勝て!』と思いながら描いていて。
坂道は僕の理想で、2年生が僕の現実って感じなんです」
(幻冬舎 papyrus 2009年10月号)
このインタビューから3年半近くの時間を経て、渡辺先生の「現実」たる凡人・2年生の努力がついに実り始めています。
”非凡な初心者”・小野田坂道が自分自身ですらついていけていない急激な環境の変化をも受け止める、”努力する凡人”の大きさ。
己を知っている人間は強い。それが、自らを「弱い」と認める凡人であっても、己を知って努力し、悩み、戦い抜いてきた人間はやっぱり強いんです。そして他人の痛みを知ることが出来る。
今までの3年生たちとはまったく違った可能性を持った凡人主将率いる”第2世代”総北自転車競技部。
これまでとはまた違った展開が待っていそうで、ワクワクが止まりません。
ここにきて、まだまだ『弱虫ペダル』は面白くなるんだなと実感しております!
また、初の公式ファンブック・27.5巻も同日発売です。わー!!
描き下ろし漫画がほのぼの面白くて。やっぱり渡辺先生の描くコメディが大好きなんです…!
27巻収録のアキバ回でも感じましたが、こういうコメディ回で意外なほどに活躍するのが金城さんなんですよね…真面目さが妙に可笑しいというか。
金城さんに限らず、「ボケているつもりのない人」の面白さとそれに対する的確なツッコミの巧さが凄いと思います。
(あと「いくで小野田くん」「え どこに?」「どこにって!?」の流れとか…言及しきれませんがこういう会話の小気味良さ!)
おねだんは少々張りますが、色々とありがたいファンブックでした。
でも次があるなら、手嶋先輩と青八木先輩の扱いがもうちょっと大きいといいなあ・・・(2人で1ページとか!)。
★現在開催中の『弱虫ペダルミュージアム』の感想はこちらからどうぞ!
過去エントリ
そして彼は覚醒する 弱虫ペダル 1巻/渡辺航 - 漫画脳
気弱な少年の決意 弱虫ペダル 2巻/渡辺航 - 漫画脳
純粋という名の速度 弱虫ペダル 3巻/渡辺航 - 漫画脳
その時誰もが惹かれることを止められなかった 弱虫ペダル 4巻 - 漫画脳
上へ上へと…登るしかないっショ 『弱虫ペダル』5巻 - 漫画脳
それぞれの想い、それぞれの絆 『弱虫ペダル』6巻 - 漫画脳
全身全霊、5人のゴールスプリント 『弱虫ペダル』7巻 - 漫画脳
漫画脳:繋ぐ力、支え合う力~ほのぼのもあるよ! 『弱虫ペダル』8巻(渡辺航)
漫画脳:インターハイ開幕!疾走感、御堂筋、そして腹筋(アブ)へ… 『弱虫ペダル』9巻(渡辺航)
漫画脳:引き継がれていく熱い魂 『弱虫ペダル』10巻(渡辺航)
漫画脳:チームのために。自分のために。 『弱虫ペダル』11巻(渡辺航)
漫画脳:何者にも干渉を許されない関係がある 『弱虫ペダル』12巻(渡辺航)
漫画脳:強者の信念、三様 『弱虫ペダル』13巻(渡辺航)
漫画脳:彼は理屈を欲しない 『弱虫ペダル』14巻(渡辺航)
漫画脳:心理戦の限界を超えた先に 『弱虫ペダル』15巻(渡辺航)
漫画脳:捨て行くものと信じるもの 『弱虫ペダル』16巻(渡辺航)
漫画脳:”チーム”の形は一つじゃない 『弱虫ペダル』17巻(渡辺航)
漫画脳:過去、決別、純粋な強さ 『弱虫ペダル』18巻/渡辺航
漫画脳:そしてついに出逢った2人 『弱虫ペダル』19巻(渡辺航)
漫画脳:主人公を成長させるのは 『弱虫ペダル』20巻(渡辺航)
漫画脳:一つの絆の境地 『弱虫ペダル』21巻(渡辺航)
漫画脳:総北ジャージは真の「完成形」へ 『弱虫ペダル』22巻(渡辺航)
漫画脳:誰よりド派手に赤く燃え上がれ!総北高校の”赤いマメツブ” 『弱虫ペダル』23巻(渡辺航)
漫画脳:「得体の知れない男」たちの本気の闘い 『弱虫ペダル』24巻
漫画脳:少年たちが成長するとき 『弱虫ペダル』25巻(渡辺航)
漫画脳:頂上決戦に残る者たちの本質 『弱虫ペダル』26巻(渡辺航)
雑食商店街3373番地:インターハイ、決着。そして新たなステージへ。 『弱虫ペダル』27巻
『弱虫ペダル』・坂道から消えたのはオタク魂ではなくて
漫画脳:描き文字に見る、渡辺航先生イズム
『弱虫ペダル』 小野田坂道と御堂筋翔~最も近くて、最も遠い2人
漫画脳:【超速報】舞台「弱虫ペダル」を観に行ってきましたよ!
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