まさかこの作品が商業単行本になる日がくるとは…。
アイドル好きならば殆どの人が一度は目にしたことがあるであろう、似顔絵イラスト。そんな特徴を捉えつつも可愛らしくデフォルメされたアイドル達が所狭しと暴れまわるのがこの作品、『ナカGの推しメン最強伝説』です。
掲載作品は同人誌で発表されたものから「ぽこぽこ」でウェブ連載されたもの、そして様々な雑誌に掲載されたものなどで構成されています。
わたしがナカG先生の描くアイドルに初めて出逢ったのはpixivでしたが、同人誌で読んで衝撃を受けたのはこの単行本にも収録されている『Z伝説あかりん』ですね。そのタイトルの通り、「ももいろクローバーが6人のままで『Z伝説』を歌うことになっていた」というif世界の物語。
ギャグタッチではありますがあかりんが存在するZ伝説という妄想の産物をどこまでも「それらしく」描き切る力量、そして妄想の向こう側…漫画の世界の中であってもきちんと自分の夢を選び直すあかりん…という”アイドルの決断を受け入れる”ファンの温かさが滲み出るような結末に唸ったものです。
(ちなみにこの同人誌を薦めてくれたのは無駄話のトルド師匠でした。感謝!)
これだけ様々なアイドルを描きながらもどのアイドルに対しても愛が溢れていて、絵柄は数を重ねるごとにシンプルにデフォルメされる一方で仕込まれる小ネタやエピソードの数と質は繊細としか言いようがありません。その元ネタを知っていればニヤニヤできますし、知らなくても(自分はハロプロとももクロ以外はほぼ知識皆無の状態で読んでいます)ちゃんと楽しめるように漫画としては完成されている。むしろ、このアイドルはこういう子たちなのか、観てみようって気になっちゃうからこわい!
一般的にアイドルファンじゃない人が「アイドルヲタクの妄想」を想像すると憧れのアイドルと近付いたり恋したり云々っていう図になってしまうのかなあ、と思うのですが(勿論そういう妄想も存在するのでしょうが)、おそらくアイドルファンの多くが描く夢は実際のところ「アイドル達自身の活躍」じゃないかなあと思うんです。その答えをナカG先生は初めての同人誌で発表されたという『ナカGのBerryzいくべ!』で既に描いていて。
ナカG先生自身が主人公のこの作品は、”神様にBerryz工房のマネージャーしてもらう代わりにBerryz工房の記憶が消され、Berryz嫌いの記憶をうめこまれてしまう”という設定。近くの距離にいながら、Berryz工房を、大好きなメンバーの熊井ちゃんを傷つけてしまったナカGマネージャーはステージ上の彼女たちを観て記憶を取り戻し、マネージャーという立場を捨てTシャツとサイリウムを手にして客席から歓声を送ります。
漫画の中のif世界…妄想の中ですら、「アイドルに近い場所」よりも「ファンとして応援する」ことを選ぶ。そしてステージ上のあの子が輝いていてくれることが何よりも嬉しい…。アイドルファンとして、アイドルヲタクとしての覚悟が生半可なものじゃないんですよ。いつだって一生懸命で、煌めいてる彼女たちを応援できる喜びのかけがえのなさを本当に大事にしている。きっと、そうでなければアイドルがif世界の中でも「アイドルとして」輝く、こんな素敵な漫画は描けっこないんです。
可愛く楽しい漫画であるだけでなく、アイドル好きにはどこか涙腺に響くほんっっっっとうに最高のアイドル漫画だと思います!
いつかハロー!チャンネルの連載作もいつか単行本になるといいなあ~…。
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