ついに『弱虫ペダル』コミックスにアニメDVD付限定版が発売される日が…。限定版は書籍扱いということで早々入手して感想書かせていただいております。(現時点ではまだDVDは未視聴です。単行本感想優先!)
IH終了後というもの、怒涛の新展開続き!
手嶋新主将率いる新生総北、そして箱学にも3年生引退に向けて動きが見え始めてきました。いまは残る部員たちに意識の変化や焦り、覚悟など様々な想いが芽生え始めている時期です。
初心者ながらIHで個人総合トップという結果を獲ってしまったがゆえに混乱する坂道は、尊敬する先輩・巻島との突然の別離のショックも払拭しきれぬまま秋の峰ヶ山ヒルクライムレースで箱学からの新たな刺客・葦木場と対面します。
葦木場自身が「次期エース」としての相応の覚悟で臨む本気の走りに一時は圧倒される総北選手陣ですが、坂道は凡才主将・手嶋の努力が滲む熱い走りに心を揺さぶられます。
尊敬する先輩が去ってしまったことで闘う意義すら見失いつつあった坂道を奮い立たせた上、たとえ近くには居なくとも先輩から得られるものはあるのだということを気付かせる手嶋主将の人心掌握術は見事なものです。才能に恵まれず、悩みもがいている時期が長いからこそ他人の痛みにも敏感なのでしょう。
一方の葦木場。彼は箱学主将の福富に救われた過去を持ち、今回のレースでは単なる偵察ではなく真剣に勝ちに行く心づもりで臨んでいたために敗北によって受けたショックも相当のものでした。
失意と共に福富の元に戻る葦木場ですが、福富の言葉は厳しくも優しいもの。総北と箱学ではまったく形は違いますが、それぞれこうやって遺伝子が引き継がれていくのだな、と熱い気持ちになります。
それぞれの意識の変化や戸惑い、そして精神的な事を含めての成長が描かれて大変密度が高い巻です。
それでいて、程よくコメディ調のシーンも織り交ぜられていて、渡辺先生の本領が遺憾なく発揮されているかんじ。IHのような長期レースが始まればそうはいかないのでしょうが、正直今のバランスは読んでてメチャクチャ楽しいです。
鳴子君が自分自身の今後についての悩みを抱えて里帰りする展開自体は物語上非常に重要でシリアスなシーンでもあるのですが、大阪で親戚や元ご近所さんと騒ぐ場面の面白さとテンポの良さったら!熱血も良いですが、やっぱり渡辺先生のコメディはイキイキしています。大好き。
意外な新キャラ・意外な再登場キャラもドンドン現れて賑やかな展開が続き、内容も一言二言では言い表せませんが、「人が人に与える影響」が色濃く描かれていた巻だったのかなと思います。元々『弱虫ペダル』という作品はそういう部分が強い作品ではありますが。
何も先輩から後輩に受け継ぐという面だけに限らず、同級生同士での衝突もあったり、後輩の姿に先輩がまた気持ちを新たにしたりして。
特に坂道はメンタルの弱さがここに来て爆発しつつあるので、それを支える周囲の温かさみたたいなものを強く感じます。今まで目立たなかった成績のキャラクターがぐいぐい進化しつつあるのも嬉しいなあ。こうやってキャラクターを大切に描かれるのも渡辺先生らしくて嬉しいです。
過去エントリ
そして彼は覚醒する 弱虫ペダル 1巻/渡辺航 - 漫画脳
気弱な少年の決意 弱虫ペダル 2巻/渡辺航 - 漫画脳
純粋という名の速度 弱虫ペダル 3巻/渡辺航 - 漫画脳
その時誰もが惹かれることを止められなかった 弱虫ペダル 4巻 - 漫画脳
上へ上へと…登るしかないっショ 『弱虫ペダル』5巻 - 漫画脳
それぞれの想い、それぞれの絆 『弱虫ペダル』6巻 - 漫画脳
全身全霊、5人のゴールスプリント 『弱虫ペダル』7巻 - 漫画脳
漫画脳:繋ぐ力、支え合う力~ほのぼのもあるよ! 『弱虫ペダル』8巻(渡辺航)
漫画脳:インターハイ開幕!疾走感、御堂筋、そして腹筋(アブ)へ… 『弱虫ペダル』9巻(渡辺航)
漫画脳:引き継がれていく熱い魂 『弱虫ペダル』10巻(渡辺航)
漫画脳:チームのために。自分のために。 『弱虫ペダル』11巻(渡辺航)
漫画脳:何者にも干渉を許されない関係がある 『弱虫ペダル』12巻(渡辺航)
漫画脳:強者の信念、三様 『弱虫ペダル』13巻(渡辺航)
漫画脳:彼は理屈を欲しない 『弱虫ペダル』14巻(渡辺航)
漫画脳:心理戦の限界を超えた先に 『弱虫ペダル』15巻(渡辺航)
漫画脳:捨て行くものと信じるもの 『弱虫ペダル』16巻(渡辺航)
漫画脳:”チーム”の形は一つじゃない 『弱虫ペダル』17巻(渡辺航)
漫画脳:過去、決別、純粋な強さ 『弱虫ペダル』18巻/渡辺航
漫画脳:そしてついに出逢った2人 『弱虫ペダル』19巻(渡辺航)
漫画脳:主人公を成長させるのは 『弱虫ペダル』20巻(渡辺航)
漫画脳:一つの絆の境地 『弱虫ペダル』21巻(渡辺航)
漫画脳:総北ジャージは真の「完成形」へ 『弱虫ペダル』22巻(渡辺航)
漫画脳:誰よりド派手に赤く燃え上がれ!総北高校の”赤いマメツブ” 『弱虫ペダル』23巻(渡辺航)
漫画脳:「得体の知れない男」たちの本気の闘い 『弱虫ペダル』24巻
漫画脳:少年たちが成長するとき 『弱虫ペダル』25巻(渡辺航)
漫画脳:頂上決戦に残る者たちの本質 『弱虫ペダル』26巻(渡辺航)
雑食商店街3373番地:インターハイ、決着。そして新たなステージへ。 『弱虫ペダル』27巻
雑食商店街3373番地:凡人主将率いる、新たな時代の幕開け! 『弱虫ペダル』28巻(渡辺航)
『弱虫ペダル』・坂道から消えたのはオタク魂ではなくて
漫画脳:描き文字に見る、渡辺航先生イズム
『弱虫ペダル』 小野田坂道と御堂筋翔~最も近くて、最も遠い2人
漫画脳:【超速報】舞台「弱虫ペダル」を観に行ってきましたよ!
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