待望の弱虫ペダル2巻!発売されました。
1巻感想では坂道の二つの「自覚」について触れました。ひとつは運動神経が無い自分が自転車で早く走れているという自覚、もうひとつは自転車に乗るということ、そのこと自体への意識の変革。
そして2巻での大きな感情の芽生え、それが「自転車の楽しさ」です。


いつものようにアキバに訪れた坂道は、鳴子章吉(なるこ しょうきち)という関西弁の少年に出逢います。
強引な鳴子のペースに完全に飲まれる坂道ですが、この出逢いがとても大きな転機になることになります。
ひょんなことで鳴子と共に自転車で車を追いかけることになった坂道。戸惑いつつもロードレーサーで走る鳴子の後をママチャリで追いかけながら風を感じ手ごたえを感じ、自転車、そして自分自身の可能性を少しずつ掴む坂道のイキイキした表情といったら!そんな疾走感のある話の流れの中にも、常に確信犯なヒロイン・寒咲さんの付けた変速機の使い方など自転車知識をきちんと織り込んだ初心者にも優しいつくりは相変わらず。
また鳴子との出逢いは自転車に関してのみならず坂道に好影響を与えることになります。それは人とのコミュニケーションの面において。友達を作るのがひとつの目標である坂道に対し、初対面の相手を「友達」と呼び、それもうわべの言葉だけではなく自分のことで熱くなってくれる鳴子との出逢いは衝撃的で、それと同時に嬉しいものであったのです。自転車関連の描写が熱くてあまり目立ちませんが、個人的には坂道が自分の名前を間違って呼んでいることを鳴子にはっきりと訂正する場面が大好きだったり。そのときの坂道の表情が凄く良いんですよ。
自転車で走る・漕ぐ・風を受ける…という描写の素晴らしさに関しては、もう説明しようとすることが野暮というものなので未読の方には是非実際読んでみていただきたいです。紙とペンの可能性を改めて知らされる…。


人との出逢いと自転車に関する目覚めを繰り返し、ついに坂道は自転車競技部への入部を決意。今泉と鳴子の間に生まれるライバル心。個性的な先輩陣と侵入部員たち…と益々目が離せません。毎週チャンピオンで読んでいますが、その熱さは増していく一方です。熱さで涙が出てくる漫画に出逢えたのはきっと初めて。
ところで時々目にする「このまま坂道は脱オタしてしまうのか?」という懸念の声ですが…
私は杞憂だと思います。ファンとしては渡辺先生がオタクというものをきちんと偏見なく描かれるということは電車男の前より知っていたことだし。