さて問題です。「制服ぬいだら♪」のタイトルで重要な部分はどこでしょう?答えは数十行後!


数えてみれば秋田書店版5巻の発売から苦節3年半。ついにお気楽ほのぼの着替えコメディーの傑作が帰ってきた!ありがとう講談社!ありがとうシリウス!!


そしてその新装版の帯のコピーがこれだ!

どーん!!
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「パンツ率驚異の35%を記録!!」
…数えた…のか…かぞ…なぜ数えた!!自誌連載でもない漫画のぱんつ含有率を数えるなんてシリウス編集部め…愛せる!
そしてその期待を裏切らない35%という数字。やっぱり「制服」は最高やでえ…!


ここで未読の方のために簡単にあらすじをご紹介します。パンツパンツ言われてもどういう話かさっぱりわかりませんものね。

~あらすじ~
主人公・果実みのりはドジでのろまでおバカな高校一年生。
ある日、突然変身スティックを託され宇宙からやってきたモンスター(=通称ドリモン)と闘うことに!!
しかしスティックでの変身は自動でないので毎回着替えが必要でした。
そしてみのりは…
着替えが遅かった!!
~あらすじ終了~

あの、別にふざけてませんから!本当にこういうお話なんです!
こうやってあらすじだけ書いてしまうと余りにもみもふたもない感じなので私から見た「制服」の魅力をいくつかお伝えしていきたい、と思います。


この漫画の大きな特徴…それは「ブラとかパンツとか出まくりなのに全然えろくない」ということです。

「それってマイナスなんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃいましょう。それはそうです。このタイトル、パンツや着替えというキーワード。エロを期待してホイホイされる人間は少なくないと思います。(ていうか、私がそうだった!!)しかし、何故「えろくない」のか?画が下手なの?シチュエーションが悪いから?否、それらの条件はクリアしてのこと!
答えは「それらの要素を凌駕する程の圧倒的な能天気さ」の賜物なのです。
まだ第一巻の時点ではほのかな少年誌エロスの香りを漂わせていますが、それで釣るような漫画ではないのです。しっかりした漫画力、勢いのあるギャグ、個性が強すぎるキャラクタ…と「読ませる」力の強さ。エロいと騒げる隙を与えてくれないのだ、この漫画は!

そもそも、第一話の導入部分で早速主人公のみのりがスカートを履き忘れて登校したり、
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ブラで喋る先輩が現れたり
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というトンデモぶりには「女子の下着=エロス」という世間の常識を忘れさせる破壊力があります。エロ目当ての人にはがっかりする人もいるであろうけど、「あれ、おかしいな!こんなはずじゃなかったのに!パンツとかブラとかおしりとか見ながら笑う予定じゃなかったのに!」とぐんぐん引き込まれてしまうファンも少なからず生まれるはずなのです。私が証人だ!

ここで最初の質問の答えです。
「制服ぬいだら♪」のタイトルで一番重要な部分。
それは「♪」。
制服ぬいだら・・・というキーワードに目が行って見落としがちですが、実はこの「♪」がこの作品に流れるお気楽で平和で底抜けに明るい空気を示しているのです。コミックバンチに連載されていた「ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。」においてもそうですね。これが「ゴーゴー!」だったりしたら全く別物なのですよ。渡辺先生の描かれるコメディを一番端的に表すことが出来るのが「♪」マークなのです。実に完成されたタイトルですよ!


そしてもう一つの魅力、それはみのりの心優しさ。もたもたでボケっとしたみのりですが、同級生の道真くんに恋をしています。片想いモノとしての魅力も十分ですが、私がかつて初めて「制服」を読んだときに心を掴まれた決定的な場面はこれでした。
前出の辻野先輩(ブラの人)を道真くんの彼女だと勘違いし、ショックの余り何も出来なくなったみのり。しかし辻野先輩がドリモンの攻撃に巻き込まれそうになったのを見て(もたもたとではありますが)駆け寄り、こう言うのです。
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「道真くんの彼女にもしものことがあったら 道真くんにもうしわけないです!!」
この一言が私がこの作品の虜になるきっかけでした。ドジだけど、いつでも元気で一生懸命で心優しいみのり。能天気なだけではなく、作品いっぱいにそんな優しさが満ちているのがまた魅力的なのです。


この新装版、新規に描き下ろされた表紙と裏表紙の他に、カバー折り返し部分と目次に旧版表紙・裏表紙イラストが収録されているのも嬉しい作りです。
久し振りに描かれたみのりはちょっと坂道っぽいw
思えば現在連載中の2作品においても、「弱虫ペダル」ではドジでダメダメだけど一生懸命ひたむきな主人公が頑張っているという部分が、「まじもじるるも」ではドタバタギャグの部分と女子のパンツの持つ暖かさや優しさという魅力がそれぞれ「制服」の遺伝子を引き継いでる…かも。どちらのファンの方もルーツとして、「制服」を読んでおいてソンはない!はず!


チャンピオンRED連載が終了して、バンチ、シリウス、そして週チャンと渡辺先生は数々の雑誌で連載を重ね、少しずつその漫画の魅力が認知されてくるようになりました。渡辺先生のサイトのタイトルは連載作品が変わるごとに少しずつ変化していますが、現在も「るるもと弱虫ペダルと制服箱」と「制服」の文字は外されず残っています。そして「制服」についての宣伝を書かれるときは必ず「1~5(未完)」と、未だ完結されていないことを強調されていました。

それだけ渡辺先生ご自身、この作品に対する愛情は並々ならぬものがあります。この作品が、そしてその渡辺先生と私たちファンの気持ちがようやく報われました。あとは一人でも多くの人が読んでくれますように・・・!