『まじもじるるも』シリーズ、第3弾!にして、渡辺航先生最新作!『まじもじるるも 放課後の魔法中学生』コミックス待望の第1巻が発売となりました。
しかも、このコミックス発売日がテレビアニメ放送初日と同日…『るるも』がテレビアニメ化する日が来るだなんて、ちょっと前の自分からしてみたら別の世界線に迷い込んじゃったかな!?クラスの衝撃ですヨ!


今作『放課後の魔法中学生』は『まじもじるるも』全7巻、『まじもじるるも 魔界編』全4巻でるるも達が過ごしてきた時間から、少し後のお話。未読の方もいらっしゃるかもしれないので詳しくは伏せますが、『まじもじるるも』でるるもは契約者である柴木耕太たちと地上でかけがえのない日々を送り、一転『魔界編』では一遍に大切なものを失ってしまいますが自分たちの手でそれらを取り戻し、本当の意味での大団円を迎えていました。
あまりにも綺麗な形での終幕を迎えていたため、『まじもじ』シリーズの第3部が始まると聞いたときは本当に驚いたものです。しかし、今度はるるもをあえて主人公たちを見守る立場に据えることで、るるもの「その後」を描きつつも全くの新しい物語の幕開けともなっていたのです。


地上勤務に配属された最下級13級魔女、ルシカ・フェルト。彼女は任務よりも、正直オシャレやカワイイものに興味津々のマイペース魔女。
あまりやる気がないルシカですが、使い魔の黒ネコJJ(ジェイジェイ)に喝を入れられつつ同じく下級の魔女・スラガ&モモヒメと3人で地上のアパートで暮らし、中学生として学校に通いながらとある任務を遂行しなければなりません。その任務とは、「言ノ葉の書(ことのはのしょ)」と呼ばれる書物に「言葉」の力によって発生する文字…通称「呪文字(まじもじ)」を集め、それを元にした新しい魔法システムの管理と実証を行う事。そして、彼女たちの任務の監査役を務めるのが前作までの主人公・るるもなのです。
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一見、すぐに集まるかと思われた「呪文字」ですが、心から発せられた言葉でなければ言ノ葉の書に定着しないという特徴があります。呪文字を魔法のエネルギーとして使うためには、より多くの人々が心を込めた言葉を発する瞬間に出逢わなければなりません。
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(↑ルシカ)
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(↑モモヒメ、スラガ) 
任務<オシャレ&カワイイ探しなルシカ、真面目で任務第一だけどどこか抜けてて生活能力が低いスラガ、人嫌いでコミュ障気味のモモヒメ。それぞれどこかしら残念なところがあり、ちょっぴり落ちこぼれている3人の魔女たちがそれぞれあれやこれやと悩みながら呪文字を集め、(本当は勝手に使ってはいけないけど)集めた呪文字で魔法を使ったりする日々。任務自体は大真面目なものですがそれはそれとして、女の子が3人で暮らして、学校に通って…という毎日はやはりかしましくて、まぶしいものです。


そしてルシカ達は知りませんが、この「呪文字」システム構想には『魔界編』で残されていた魔界の魔法システムが持つ問題点の解決が掛かっています。
るるも達はるるも達で、引き続き魔界をより良い世界にするためにいまも戦っているんですね。でもあの頃よりも彼女たちを取り巻く環境はずっと穏やか。物語のメインではないものの、幸せを手に入れたるるもの姿が垣間見れるのは『まじもじ』シリーズファンにとっては何よりも嬉しいことです。
一方そういった問題点に関しては前作から引き続きるるも達が担っていることで、メイン主人公であるルシカ達の毎日には暗い影があまり見えず、あくまで本作は「日常コメディ」として進行しているのが大きいところです。それが今作品が「続篇」でありながらも「最新作」、といえる所以でもあります。るるも達の物語は続いているけれど、ルシカ達にとっての全く新しい物語でもあり、そのお互いが邪魔をすることも打ち消すこともしていない。なので、『まじもじ』シリーズを読むのがまったくのはじめてでも今作から楽しむことができると思いますし、前作から引き続き読んでいる人間には感慨深い部分もいっぱいあるのです。


魔女3人のドタバタ日常は渡辺先生お得意の個性的な女の子たちによるボケ&ツッコミの勢いがとても心地よいです。性格も考え方もバラバラで、仲良し…とは言えないものの共に暮らしていくうちに少しずつ打ち解けあってゆく過程にほっこり。
そんな中で、個人的に1巻収録の中でこれぞ先生の真骨頂!と思うのが6話めの「お願い るしかちゃん」というお話です。ルシカが学校で仲良くなったフツーの人間の女の子、田部優子さんが図書館の司書さんに恋をするお話。
オシャレにこだわりのあるルシカに一緒に洋服を選んでほしい…と頼み街に出る田部さんですが、がんばって溜めたといっても中学生のおこづかいでは限度があり髪飾りしか買えません。それでも彼女のせいいっぱいのオシャレで、想い人に会いに行き、それに気づいて貰えたとき。平凡な少女の笑顔は何よりも煌めいて見えました。
このお話でやっぱり渡辺先生の描く「恋する女の子」の輝きは最高だな…と改めて感じました。こうして文にするとたったそれだけのことなんですが、田部さんの想いの強さ、それゆえの輝きは見ているだけで涙が出るほどまばゆいです。この回を読んで、ようやくまた久し振りに渡辺先生の描かれる女の子の魅力がいっぱいの最新作に辿り着けたのだな…と心から嬉しく思ったものです。


『まじもじるるも』シリーズ最新作は、いままでの『まじもじるるも』よりちょっぴりハッピーな魔女たちの日々が詰まっていました。これが、渡辺航先生の本気だっ!