『弱虫ペダル』35巻が発売されました。
帯にはコミックス累計1000万部の文字が。いつの間にやら物凄い数字に…。
表紙は新生箱学の主将・泉田と銅橋。猛獣使いと猛獣といった風情ですね…。
つ…次こそは青八木先輩か…な…。
ついに開幕のインターハイ栃木県大会。
昨年優勝というプレッシャーのかかる総北、常勝校であるはずが昨年の優勝を逃したことでより一層勝利への執着を強くした箱学…それぞれの思惑が飛び交います。
昨年以上に個人個人の間にも因縁めいたものが生まれているので、レース開始前のやりとりも各チーム内外併せて様々。
冬に御堂筋との勝負に敗れて「オールラウンダー」へと転向したことを宣言し、リベンジを誓う鳴子君。
再度ウェルカムレースに出場するも鏑木に敗れ、IH選抜メンバー入りは逃したものの自分自身の役割や立場を見出し、どこか清々しい顔で今泉にエールを贈る杉元…。
なかでも少しせつないのは、かつて同じチームで走っていた総北新主将の手嶋先輩と箱学新レギュラーの葦木場のやりとり。
葦木場君は自分が「箱根学園の一員」であることを誰よりも重く受け止めているように思えます。
ライバル校同士といえど巻島先輩と東堂、坂道と真波君のような関係の紡ぎ方というものもあるはずですが、かつて仲が良かったはずの仲間だからこそ、そのままでは戦えない。断ち切らなければ先へ進めない。そんな思いが滲み出るようなやりとりでした。
葦木場君が手嶋先輩に「宣戦布告」しに来たのは自分自身が過去を捨てて戦うため、とも思えます。
このインターハイのレースを通して、この2人の関係にも変化がみられるのかもしれませんね。
さらにそんな中、新たに生まれる因縁も。
総北の天然自信家一年生の鏑木と箱学の怪物・銅橋。
ひょんなことから出会った2人の間の空気は最悪でまさに一触即発。
総北も箱学も昨年には居なかったタイプのキャラクターで、お互いに激しい気性の持ち主。
さらにふたりともスプリンターとなれば、レースでの激突は必至で…しかしいまだに鏑木は、自分自身をオールラウンダーであると勘違いしているのでさらにややこしくもあるのですが…。
そんな鏑木は銅橋に問い詰められて、尊敬するはずの坂道の強さに疑問を持ち始めてしまいます。
確かに普段の坂道はいつも通り頼りなさげ…で、見れば見るほど疑問に思ってしまうのも仕方ないかもしれません。
それもそのはず最強の初心者から昨年優勝、という大きな大きな看板を背負うことになってしまった坂道はレース外の部分では今まで以上に緊張してアワアワしっぱなし。
「ロードレースを始めたばかりの主人公が一年生でいきなり優勝」というと出来過ぎたストーリーのようですが、その実績に自分自身がうろたえてしまうのもまた坂道らしさ。
しかしやはりそれでも確かに見についている力強さもあって、そのコントロールの仕方を青八木先輩が把握しているというのも意外でしたね。
一人ではどうにもできないことも、背中を少し押してやることで力を引き出せる。
これは坂道の個性でもありますが、総北らしいとも言えると思います。
総北6人が全員で拳を突き合わせる見開きは、一年前のインターハイを彷彿とさせる熱さがありました。
書きはじめたらキリがないですが実質的に御堂筋が率いる京都伏見…まさかの新開弟登場(しかもクライマー!)…等々、めちゃくちゃ濃厚です。
また、熱くて濃密な3日間のレースが開幕しました。今年はどんな戦いが繰り広げられるのでしょうね。