弱虫ペダル36巻が発売されました。
最近は、別冊少年チャンピオンでのスペアバイクも同時連載ということで先生の仕事量本当にハンパないことになってると思います…。
そんな中ですが、今回は36巻にして!!ついに!!青八木先輩が表紙ですよ!!!!!!!
先生の描かれる作品のキャラは大体皆好きですが、ペダルでは青八木先輩がいちばんの贔屓キャラです。自分でも忘れがちですが。ひっそりと応援しています。


そんな青八木先輩が大活躍の36巻。
インターハイ初日スプリント勝負で箱学・銅橋と対峙するのは総北からは2人、青八木先輩と1年の鏑木です。
3人とも昨年のインターハイには出場していなかったメンバーですね。鏑木は1年生なので当然ですが、銅橋は実力的には申し分ない選手。
そこは回想シーンで描かれていますが、彼自身曲がったことが許せないが故に周囲と馴染めず、しかしそれでも諦められないものを抱えて燻っていたところを現主将の泉田の言葉で吹っ切れ、覚醒したという経緯があります。泉田というキャラクターも、かつての揺らぎや弱さを乗り越えて成長したうえでこうして後輩を導く立場になったのだと思うと感慨深いものがあります。


強豪箱根学園で、素行やコミュニケーション面で問題があったとはいっても根は真面目で努力家、何より自転車に対する姿勢は筋が通っている銅橋。青八木先輩と同学年ではありますが、単純に見れば実力で上回る相手、ということが見て取れます。しかも、ここまで来ても鏑木はスプリンタータイプである自分のことをいまだにオールラウンダータイプと思い込んでいるという状態。ただでさえ人の話を聞かない鏑木に、無口な青八木先輩はどう接していくのか…。


しかしそんな鏑木の心をつかむ術を、青八木先輩はすでに心得ていました。
とあるきっかけで、メモに鏑木へのアドバイスを書き残して行くようになっていた青八木先輩。誰からのメッセージか…と普通なら気にしても良いようなものですが、鏑木はこれを神様からのアドバイスと受け入れてしまい…アホだ!この子偉そうなことばっかり言ってるけどめちゃくちゃ純粋なんですよね。先輩たちのことは嫌いじゃないけど、素直にアドバイスは聞き入れない。しかし何故か、出所不明のメモからのアドバイスはすんなり受け入れてしまう。普段から多くは喋らない青八木先輩と鏑木、変わったコンビですが噛み合ってないようでコミュニケーションは成功してるという。ほんと先輩の数だけ指導の仕方はあるなと思います。


また青八木先輩にとっても、鏑木のバカさ加減が救いになっているのかなと思います。
彼自身、先輩の立場ですし地道な努力を重ねているといっても「平凡」寄りの選手。頭も良いだけに限界を感じ取ってしまう瞬間というものがあるのだと思いますが、それを予測できない発想で良い意味でかきまぜてしまうのが鏑木なんですよね。
この2人がこの場で勝負をする、ということがこういった効果を生み出す…というところまで主将の手嶋先輩にも想像が出来ているかはわかりませんが、少なくとも良い相乗効果を生み出していることは確かです。


鏑木は、ほんとうにほんとうの「とびきりのバカ」なので(笑)、理屈よりも感情というか、感覚的なものを優先しているタイプ。緊迫感のあるはずのこのスプリンター対決の場面でもズレたことばっかりポンポン言い出して、本人はおかしなことにまったく気づいていない。それに対して、青八木先輩は基本的に心の中でだけツッコんでいる、というのが絶妙な可笑しさを生み出していると思います…。「カッコイイかな!?」は何度見てもジワジワくる。好き。青八木先輩といえば今まではやっぱり手嶋先輩とのコンビのイメージですけど、そこにはツッコミは必要ないわけなので。青八木先輩の新しい魅力を見せてくれた鏑木に感謝。


人と人とがぶつかって生み出すものって本当に未知数ですね。魅力的なキャラクターを次々生み出している『弱虫ペダル』という作品だからこそ尽きない面白さの部分だと思います。