というわけで、タイトルの通りですがついに今回はチケットが確保できなかったのでライブビューイングで観劇してまいりました。やっぱり生で観たかったし、悔しいというのが本音でしたが映画館で観てもペダステは楽しくて素晴らしくて、映画館ならではの迫力といえるものも味わえたので開演前のモヤっとしたものが終演後には吹き飛んでしまっていました。
千秋楽後の感想ではありますが、一応ネタバレ注意という事で以下は感想を。

「舞台『弱虫ペダル』」(以下、ペダステ)としては通算5公演目、箱根学園篇スピンオフとしては「眠れる直線鬼」に続いての2作品目となるのが今回の「野獣覚醒」。そのタイトルの通り、箱学の荒北靖友を主人公に据えたこの物語は原作『弱虫ペダル』においては外伝の「SPARE BIKE」シリーズが元となっています。その一方でペダステとしての本来の時間軸…インターハイ2日目の夜でのそれぞれの出来事も同時に描いていくという方式がとられていました。
今回の初登場キャラクターは箱学2年生の黒田雪成。原作ではこの当時殆ど目立った活躍のなかったキャラクターですが、後々描かれていくこととなる荒北さんとの関係をここで取り入れることで舞台ならではのアレンジをし、語り部的な役割を与えるという形でうまく物語に絡めていた、という印象でした。


箱学以外は、総北から金城・鳴子と京伏からは水田・御堂筋のみの出演でしたが、実際にキャストが出演していないキャラクターも確かに居るのだと感じさせる演出が巧いんですよね。たとえば鳴子君が金城さんと宿舎で話す場面では「スカシは薄情ですよね、自分のマッサージが終わったらさっさと寝てしもうて」(台詞はうろ覚えです)のような一言が入って、この場に今泉君がいない理由がスッと説明されるんですね。全員が出演できないスピンオフでも、この場に居ないキャラクター…キャストの存在がかならず描かれているというのが、ペダステの原作愛を感じる部分でもあります。
あと個人的にとてもよかったと思うのが水田君。原作でもまだそこまでしっかりとしたドラマが描かれていない彼の2日目夜の葛藤をきっちり真面目に表現してくれたのは嬉しかったです。原作で描かれていない部分を舞台オリジナルで繋ぎながらも、原作部分と矛盾させないよう大事に描いてくれるのが本当に面白く、毎度唸らされます。


映画館でのライブビューイングということで劇場ではそこまで見えない表情などの細かい部分も大画面で観られるのは素直に嬉しい点。そしてキャストの汗や息切れまでもがある意味では生以上の迫力で感じられました。主人公である荒北役の鈴木さんはほぼ走りっぱなしなのでそれはもう凄い汗でしたね…。あれだけの走りからそのまま歌に入る構成も凄すぎ。毎回凄いと思っている事ではありますがより強くそう感じたのでした。
個人的にも荒北さんは好きなキャラクターですし、福富さんと自転車との出逢いを通して彼が変わっていくこの物語を舞台で観られたのが嬉しいです。これが舞台で描かれたことで、これから行われるであろうペダステ版IH3日目もより深みを増していくのではないかなと思います。


ライブビューイング自体初ということで観客も手探りの部分はあったのではないかなと思いますが、金城役の郷本さんが途中のレース係員役を演じながら観客を煽って、ライブビューイング側の観客に対してまで言及してくれたお陰でこちらも拍手したり、反応がしやすくなったような雰囲気があったと思います。少なくとも自分が居た映画館の自分の周辺では…。あと、渡辺先生弄りありがたかったです!キャー先生!(って叫びそうになったけど我慢しました)
ああいったおふざけ的要素も毎回楽しみですが、それにしてもアンディとフランクに自我が芽生えすぎな件については…!笑いすぎて息苦しくなりましたマジで…。ペダステ版泉田も舞台色が強いキャラだなと思うんですが、アンディとフランクもどんどん独り立ちしていってもはや手が付けられない!


終演後の挨拶などを聞いていると、既にIH3日目を見据えたコメントが多かったのが印象的です。特に鳴子役の鳥越さんが「鳴子劇場の仕上げまで行きたい」と仰ってたのがとても。初公演以来ずっと鳴子役で出演し続けている鳥越さんがあの恰好良い3日目の鳴子君を演じる姿は私も絶対に観たいです!しかし、次に続くかわからなかった初公演ペダステを思うと、本当に遠くまで来たような気持ちにもなりますね…。
そしてあれだけハードワークだった鈴木さんが荒北を演じられて幸せ、とコメントされていたことに感動です。毎回素晴らしいキャストとスタッフが作り上げてくれるペダステ、次回は生で観劇出来たら良いなあ…とは思いますが、それが叶っても叶わなくてもライブビューイングはライブビューイングで観たいと思えるほど楽しかったです。