『まじもじるるも 放課後の魔法中学生』3巻が発売されました!『弱虫ペダル』39巻と発売日合わせのため通常のシリウスコミックス発売日(毎月9日)から1日前倒しになっています。
1・2巻がどちらもテレビアニメ『まじもじるるも』放映期間中の発売で、その間が2ヶ月だったので3巻が発売されるまでの間がとても長く感じましたが月刊連載であることを考えるとそれほど遅いわけでもない…ですね。そしてついに表紙には現主人公のルシカが初登場です。(今回作中では全然制服姿にはなっていませんが…(笑)


2巻の終盤で魔法の事故に巻き込まれ、るるもの修業魔時代(すなわち、無印『まじもじるるも』の時代)に飛ばされたうえに身体が縮んで小人サイズになってしまったルシカ・スラガ・モモヒメの3人。やはりこれはアニメ放映期間の宣伝的な意味合いが強い展開であって、その期間は当時のるるも達のお話…すなわち無印『まじもじるるも』の外伝的な回が多めでした。
チロが自分の運動神経についてこれるルシカを気に入り、2人で海を楽しみまくるお話(『SUMMER BEACH PARADISE』)などもありますが、前半の数本はルシカ達が殆ど登場しない回も多く、現在の『魔法中学生』の新しい物語を読みたい読者としては複雑な気持ちでもありました。しかし、後半の展開でそんな複雑さを一気に吹き飛ばされます。


ルシカがたまたまチロと一緒に居た時に、チロの変身許可証の魔法が作用して一定時間元の大きさに戻れることが判明。それを知ったモモヒメは、こっそり変身許可証を持ち出して街に飛び出します。
依然、自分たちが過去に飛ばされた理由もわからないまま過ごす中で、モモヒメにはどうしてもしておきたいことがありました。彼女がずっと気にしていたのは、まだ幼かった頃に地上での任務中に死亡したという通知が届いたおばあちゃんの存在。魔界に残されていた記録により、モモヒメはこの街の廃工場がおばあちゃんの最期の場所だと突き止めていました。大人が言うには「ダメな子」で、叱られてばかりいたモモヒメの味方をしてくれていたおばあちゃん。大好きなおばあちゃんのお墓まいりをしたい、花をたむけたい。その一心で辿り着いたその先で、モモヒメは一人の少女と出逢います。


森野伊鈴。柴木たちの高校の後輩で、『まじもじ』シリーズ無印・魔界編ともに登場している女の子。人見知りで周囲とあまり関係を持ちたがらないはずのモモヒメが、初めて出逢ったはずの彼女に不思議な身近さを感じ、森野家に立ち寄ることになります。モモヒメも伊鈴も、自分が相手に感じている空気の正体がわからないまま過ごしますが、あることに気が付いたモモヒメは森野家の庭を駆け出し…。
森野家の庭にある離れの小屋。そこに住む伊鈴の「おばあちゃん」はかつて地上の男性と恋をして魔女の力をすべて捨て封印し、地上に生きることを決めた元魔女、マリことマ・リース・ラ・リリス。そして、モモヒメの本名は「マ・リース・モモヒメ・PJ」。死んだとばかり思われていたモモヒメのおばあちゃんは、魔女の力を全て捨て、魔界を、故郷を捨てたかわりに・・・・地上で、生きていた。


『まじもじるるも』を読み続けていた人間にとっては、この再会で受ける感動も一際強いものです。こうしてまた作中にマリおばあちゃんが登場してくれたことも嬉しいですし、もう会えないと思っていたおばあちゃんに逢うことができたモモヒメの気持ちも…。しかし『まじもじ』シリーズファンであれば知っている通り、マリおばあちゃんはすでに地上の寿命に支配されていて死期が近く。折角の再会を果たしたモモヒメとも、過ごせる時間はあとわずか…。
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このモモヒメとおばあちゃんの物語は、過去に遡ってその後亡くなるはずのおばあちゃんと出逢う…という意味では『ドラえもん』ののび太のおばあちゃんのエピソードの影響が強いのかな、などとも思ってしまいますが(元々渡辺航先生作品は『ドラえもん』の影響がかなり強いですし)、モモヒメは過去の時間の中でおばあちゃんと共に過ごし、もっと一緒におばあちゃんに生きて欲しいという気持ちを強めていきます…。
尊くて、切なくて、でも陽だまりのようにあたたかい時間が流れていくモモヒメ編は次巻へと続きます。


アニメ宣伝のために始まった過去編だとしても、こうして『魔法中学生』メインキャラクターのモモヒメと過去からの登場キャラクターのお話に繋がっていくのを見ているとやっぱり渡辺先生は期待を裏切らない、期待以上のものを魅せてくれる…と思わされます。何よりも、あとがきで「描いてて楽しい」と仰られているのが嬉しい。『魔界編』で完全に完結したはずの『まじもじるるも』でしたが、その世界はアニメ化をきっかけとしつつ『魔法中学生』でもどんどん広がっているのを感じます!アニメが終了した後は連載どうなってしまうのかな…と少し不安でしたが、もうすこしこの世界を楽しめたら幸せだなと思います。これっておばあちゃんに再開したモモヒメちゃんの気持ちに近いのかもな…。どんどん欲深くなってしまうファンをおゆるしください。



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