『弱虫ペダル』41巻が発売されました。
週チャンの現行連載中(改題無し)の作品では『侵略!イカ娘』、『クローバー』に次ぐ長期連載になりました。
そしてふと気づいたら、『クローバー』とは巻数が並んでいるんですね。連載開始は『クローバー』のほうが先でしたが、休載が割と多いこともあっていつの間にやら追いついていたようです。平川先生は別チャンでの連載が始まってから休載が増えた印象ですが、そう考えるといま別チャンでスペアバイクを連載しつつるるもの連載もしている渡辺先生がほぼ休載なしってスゲー…と改めて思ってしまいます。
IH1日目もいよいよ佳境。京伏・御堂筋と総北・鳴子の因縁対決によるトップ争いに、黒田の決死のアシストにより送り出された箱学・葦木場の追い上げ。3人が1日目の優勝を懸けてしのぎを削ります。
「アシスト」を貫く覚悟を見せた黒田の走りはまさに命がけ。己の身が削れることもいとわず、ギリギリまで時間を短縮して葦木場を押し上げます。このとき彼がつぶやいた「ふり向くなよ拓斗ォ」という言葉と、送り出された葦木場の「ふり向くわけないでしょ」という決意。この場面を見ていると、ふと前回大会の3日目、アシストとしての仕事を全うした荒北が静かにチームから落ちていく場面を思い出してしまいます。あの時の、福富が決してふり向かずに前に向かう姿は個人的にはペダル屈指の名シーンだと思っていて。あの姿勢こそ、アシストの全身全霊の仕事を決して無駄にしないという何よりも真っすぐな決意の表れだったと思っているので、今回の黒田と葦木場のやり取りは、葦木場にとっては目指すべき存在でもあり導いてくれた恩人でもある福富に近づく一歩でもあったように感じられました。
3人によるゴール争いの場面は、描写ももちろんですが文字の使い分け?が緊迫感をさらに高めている印象でした。鳴子は明朝体、葦木場はゴシック体、そして御堂筋はゴシック体で一文字ずつの大きさが異なるというインパクトのある表現。こういった部分は、先生がイメージの指定などされているのでしょうか。ちょっと気になります。結果については直接は書かないでおきますが、今後2日目・3日目と続くレースにさまざまな影響がありそうな結果となったと思います…。(いや、どんな結果でも影響はあるのでしょうが)


1日目のレースが終わり、それぞれの思惑や不安も入り混じりますがレース中ではなかなか見られないコメディシーンが描かれるのでちょっとホッとする瞬間でもあります。やはり、こういった場面で存在感が光るのは鳴子章吉という男ですね!もちろんレース中の熱さもすさまじいのですが、お笑いシーンで鳴子君を動かすときの先生はきっとノリノリなんだろうなーと見ていて伝わってきます。表彰台のシーンは週チャンに載ったときから大好きで何度も見返してしまっていました。本来なら主人公であっても超魅力的なキャラクターだと思うんですよね。
さらに今年も登場の坂道母…!ほんとこの人は強力です。そんな強力なお母さんに圧倒されながらも、身内には一応ちゃんとツッコミをする坂道が見られるのもちょっと楽しかったりします。
そして…このIH会場には、昨年の総北を引っ張った元3年生の3人も駆けつけていました。しかし、この日のゴールを見届けた3人はある決断をします。この日、金城元主将と唯一顔を合わせた坂道は、彼らの強い思いを受け取り総北メンバーの元へ持ち帰ります。総北を支えた大きな存在である一方、もはやチームメイトではない…そんな複雑な立場だからこその重い決断。それでも確かに繋がっている総北の絆を感じるシーンでした。何より、”巻島さんがこの会場に来ている”と知ってみるみるうちに力みなぎっていく坂道の姿は圧巻のインパクト。こういうときの坂道の前向き力って『弱虫ペダル』という作品の底力でもあると思います。


京都伏見の山口のもどかしいまでの空回りっぷりとか、「新開隼人の弟」であることと「クライマーである」ということ以外はまだまだ謎だらけの新開悠人の存在とか、意外とフシギちゃんの多い箱学内ではツッコミにいそがしくてこの人いい人なのでは…とじわじわ分かってきた銅橋のこととか(笑)…気になることは増える一方なまま2日目のレースへと物語は進んでいきます。出場メンバー以外にも注目すべき人たちがいっぱいですね。