『まじもじるるも 放課後の魔法中学生』4巻が発売されました!今回も、『弱虫ペダル』との同時発売ですね。
4巻の表紙はモモヒメちゃん。3巻がルシカだったので、5巻はスラガさんかな?などと今から気になってしまいます。
表紙が表す通り、3巻から続くモモヒメちゃんとマリおばあちゃんのお話もいよいよクライマックスへ。
魔女の力を捨て地上で生きる事を選んだ元魔女のマリおばあちゃんはすでに地上の寿命に支配されている身。モモヒメが本来生きる2年後の世界では、おばあちゃんはすでに亡くなっている…。その事実を覆すため、モモヒメは魔界の薬「延命薬(ハスプリ)」を作りはじめます。自分が持つ知識や技術をすべてつぎ込み、本来であれば完成まで半年はかかるという延命薬をかなりの速度で作り上げていくモモヒメ。しかしマリおばあちゃんの寿命は実はあと数日というところまで迫っていて…。
おばあちゃんは、奇跡的に出逢えたモモヒメを心配させたくない…幸福な時間を過ごしてもらいたい、その一心で自分に本当に残された時間をモモヒメには伝えずにいました。それを知らないモモヒメは、作り上げた延命薬を手に、急いでおばあちゃんの元へ向かいますが…。
無印『まじもじるるも』を読んでいる人間にとってはマリおばあちゃんの死は既知の事実。その運命が変わることは…。


もう亡くなっていると思われていたおばあちゃんが生きていて、この過去の世界で出逢えたこと。もはやおばあちゃんはモモヒメの生き甲斐ともいえる存在になっていました。にも関わらず、僅かな時間で今度は永遠の別れとなったふたり。モモヒメは生きる希望を失い、ヌケガラのようになりながらただひたすらおばあちゃんに思いを馳せます。そんなモモヒメにおばあちゃんからの最後のメッセージが…これも奇跡なのか、それとも。
一度は生きる気力を失くしかけたモモヒメがおばあちゃんのメッセージを受け取り、立ち上がり、生まれも育ちもまったく違うけれども同じマリおばあちゃんの孫である伊鈴ちゃんと打ち解け、お互いの悲しみを溶かすように寄り添う姿は健気で、それでいてたのもしくもあって…。やさしくて温かくて、何度読んでもグズグズに泣いてしまいます。無印『まじもじるるも』連載時にはおそらく渡辺先生の中でも想定されていなかったであろう、おばあちゃんのもう一人の孫の物語。ずっと『まじもじるるも』を読み続けた人間にとっては感慨深いのと同時に、こうして過去に描かれた物語と現在の主人公達の物語を結びつける展開にただただ驚嘆しています。それを抜きにしても素晴らしいエピソードでもあるのですが、無印では前後編2話だった伊鈴ちゃんとおばあちゃんのエピソードがこうしてかなりの話数を割いて補足されているという事実は、『まじもじるるも』シリーズ最新作がアニメの販促という域を超えて渡辺先生の本当に描きたい物語をしがらみなく描けているということなのではないか…とも思えます。ファンとしても大変うれしいことです。
モモヒメ編の後は息抜きコメディ回を挟み、いよいよ過去篇の核心に迫る展開へ。
地上にバカンスへやってきたハルリリと遭遇したルシカたち。ハルリリはこの当時でも一級魔女ですが、ルシカ達の時代では「特別階位0級魔女」という魔界でも有数の地位にいる魔女。そんなハルリリとなんとか接触したルシカ達はその力を借りて言ノ葉の書の場所を突き止め始めます。過去に飛ばされた魔力の暴走の根源でもある「言ノ葉の書」。その原因はまだ明らかになってはいませんが、徐々に真実に近づきつつあるようです。ルシカ達の話を聞いても面白半分で協力している感の強いハルリリですが、そもそも本来「言ノ葉の書」を生み出したのはハルリリのアイディアだったということもあるので、この出逢いが未来のハルリリが閃くきっかけになっているのかも。
ハルリリをはじめとした過去の世界のキャラクターとも接し始めるルシカ達ですが、こういうところでかつて見られなかった部分が見られるのも新鮮です。ハルリリと井上が接触するのとか新鮮ですよ!25話の見開き扉はルシカ達&2年前の世界の女子たちが制服姿で揃う完全にドリーム的なイラストなんですが、彼女たちのこんな暮らしも見てみたいなあとワクワクしてしまいました。


モモヒメとおばあちゃんの物語がクライマックスでそれが見どころともいえる4巻ですが、コメディ回もテンション高め、またルシカ・スラガ・モモヒメの新たな一面も次々に見られて楽しみがいっぱいでした。単行本描き下ろしのカットや4コマなどもたくさんでサービスも多め。特に、モモヒメ編ラストの後に入るイラストがとっても好きです。
過去篇もいよいよ5巻で終了でしょうか…?ルシカ達が現代に戻ったとして、その後連載が続いてくれるかもちょっと不安なわけですが…。過去篇で描かれたことが、2年後の世界にどう繋がっていくかも期待してしまいます。現代に戻って、モモヒメと伊鈴ちゃんが再会するのが見たいなあ!