『弱虫ペダル』42巻が発売されました。今回だいぶ感想更新が遅くなってしまいました…同日発売だった『まじもじるるも 放課後の魔法中学生』4巻の感想はこちらです⇒からっぽの心を、やさしさで満たして。 『まじもじるるも 放課後の魔法中学生』4巻(渡辺航)
表紙は鏑木…初登場かと思ったら32巻で登場してたんですねそういえば(メインは杉元でしたが)。


IH2日目の朝、坂道の前に現れたのは箱根学園の一年、新開悠人。昨年の箱学メンバーである新開隼人の弟で、クライマーということ以外はまだ謎が多いですが、物腰は穏やかながら好戦的な性格であるところが見えてきました。小野田坂道自身は昨年のIH優勝後もまったく変わることなく、ましてや自分が凄いなどとは微塵も思っていないタイプ。そんな坂道が周囲からどう見られているかが悠人によって伝えられ、坂道が持つアダ名が”山王”であることが明らかになります。
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『弱虫ペダル』におけるアダ名といえば巻島さんの”頂上の蜘蛛男(ピークスパイダー)”をはじめ様々な異名があり、坂道と同じクライマーでは東堂の”山神”などもあったのですが…印象的には”山王”は”神”には満たないものの存在感も実力も感じさせる重みのあるアダ名といったところでしょうか。しかし当の坂道自身にはまったく”王”である自覚などありません。むしろ「できれば虫が入ってる方が」という考えはやはり巻島さんへのあこがれや尊敬の念から来るものでしょう。一方で新開悠人自身が持つアダ名は”頂上のスズメ蜂(ピークホーネット)”。アダ名の系譜としては、巻島さんと悠人、東堂と坂道…と逆に通じて行っているところが興味深いです。(そういえば、真波のアダ名ってまだ出てきていませんよね?)
坂道の自覚の無さがこうもハッキリ描かれたことも珍しい気がします。少し不自然なくらいの自覚の無さとも思えます。総北に居るときは坂道がプレッシャーにならないようにあえて周りが情報を遮断しているのかも…とすら思えたり。そうだとしたら、あえて一人で接触してゆさぶりをかけてくる悠人は相当なものですけれども。「答えはyesですか?」って聞き方もすごい。まだ一年だというのに異名を持つくらいですし、今後の箱学のキーマンになっていきそうな予感がします。


一方の一年生。総北高校の鏑木ですが、初日には無かった緊張感と疲労に襲われかなり危機的な状況に…。あくまで強気な態度は崩さず、しかし体が言う事をきかない。ついには集団と離れてしまう鏑木。それに気付いた坂道は「去年と同じ」行動に出ようとしますが、主将・手嶋に全力で阻止されます。今年は坂道がゼッケン「1」を背負う身であるという明確な違い。たとえ本人が無自覚であったとしても、周囲は確実にマークしている。変わらない本人の変わらない意志を自分自身が貫けない状況にしていると思うとシビアなところでもあります。
手嶋主将にとってもこれは苦渋の決断。坂道も辛い思いを押し込めて自分を納得させようとしかけていた…そんな時に動いた男が青八木一、その人でした。
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手嶋と2人、昨年のIH出場はかなわず涙をのんだ彼。そのコンビがいま真逆の意見で対立することに。強い意志で「鏑木を救出する」という思いを曲げない青八木に対し、手嶋はその難しさを訴え、阻止しようとします。この時それはもうしつこいほどに「青八木」と叫んでいるのに結果的に”相方”の意志を受け止める時には「一」と呼び方を変えるところが、もう…。「青八木」と呼んでいる時は”主将として”の立場で、そして最後の最後に”手嶋純太”個人として、青八木一に言葉を投げかけたのだろうな…と思えます。渡辺先生の、こういう名前の呼び方に意味を持たせてくるところ、大好きですね。


そしてもう一人、鏑木のピンチに動いた男が…もう一人の三年生であり、一年の時にたった独りの一年生としてIH出場を果たしたという意味では鏑木と同じ立場を経験している男、古賀。今年はサポート役に徹しながら、一人鏑木の変化に気付き動いていました。想像だけで心配をすることよりも、やはり同じ経験をしているということは大きいのでしょう。そして自分自身が一年の時に味わった悔しさを後輩に味あわせないように必死になれる彼はやはり良い先輩です。
そんな頼もしき先輩たちに救出され、少しずつ前に進もうとする鏑木ですが…。カン違い&強気&バカというキャラクタではありますが、個人的に救いに来た青八木とのやりとりにはちょっと苛立ってしまったのが正直なところです。うーん。初日終わった後の鳴子に対しての台詞もそうでしたけども…清々しいほどに生意気、というキャラであることは分かっているんですけれどもね。しかし元々のキャラ人気が高い作品である『弱虫ペダル』に、そういった先輩キャラ達に噛みつける一年を投入してきたというのはなかなかにチャレンジャブルとも捉えられます。
その生意気さゆえ、救出される側だというのにカン違いしたまま「自分が引く側」にまわったときのほうが速い、というのは面白いところ。「追いかけているときの方が速い」坂道とは真逆ですね。

あと何気に銅橋っていい奴だよなーなんて思いました。鏑木VS銅橋(あえてVS)のやり取り好きです。
長々書いてはしまいましたが、今巻はちょっと盛り上がりに欠ける印象が個人的には…。本誌で追いかけている分に今はめちゃくちゃ面白いんですけれども。前巻と次巻を繋ぐ意味合いが強い巻なのかもしれません。