公式キャッチコピー「ヒロイン全員悪女」のインパクト!
しかしそのインパクトだけでは終わらせない読み応えによって、すでに週刊少年チャンピオン読者間で話題騒然となっている『六道の悪女(おんな)たち』の第1巻がついに発売となりましたー!


発売前から週チャン誌上で破格の扱いを受けている件については以前書いたこちらの記事をご覧いただけるとすこしおわかりいただけるかと思います…。


この物語の主人公・六道桃助は不良に苛められて肩身の狭い思いをしながら学校生活を送る高校生。
大佐、課長(※あだ名)という2人の気弱な仲間たちとトイレで愚痴を言うのが唯一のストレス発散方法…という切ない毎日。
そんな六道のもとに、突如亡くなったはずの祖父から荷物が届く。その中に入っていたのは彼の家に平安時代から伝わるという、陰陽師が化け物を倒した時に使った術が書かれている巻物。
陰陽術の力で不良を倒し平和な学校生活を送ることが出来るのではないかと期待する六道に現れた予想外の効果…それは、女の子…しかも「悪女」限定で無条件に惚れられる、ということだった!
不良を嫌う上に女の子と縁がない人生を送ってきた六道にとって「悪女」は何重もの意味で理解が及ばない”未知の生物”。
そんな悪女たちに突然惚れられてはイジメやカツアゲから救われるようになってしまうという、単純に助かったとはとても言えない複雑な状況。
そして彼は街で「運命の悪女」とも呼べる存在に出逢う…その悪女の名は「向日葵乱奈」!
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時代にそぐわないスケバン衣装に身を包み、一人で不良チームを壊滅させる程の強さと凶暴さを持つ正真正銘の悪女。
破壊の化身の如き振る舞いで周囲を恐怖に陥れるその一人の少女が、ただ一人・気弱ないじめられっ子であるはずの六道にだけデレる。
どんどん歪になっていく学校生活から、彼は一度は逃げ出そうとするけれど…。


最初は気弱で卑屈で、自分から状況を変えようとすることはなかった六道少年。
これは陰陽術の力で悪女に惚れられ助けられる特異体質となってしまった彼が、あえてその力を極力使おうとせず「自分自身が変わる道」を選ぶ物語。
いわゆる「ハーレムラブコメ」と呼ばれる作品の主人公を見て『どうしてこの男がこんなにモテるのか?』と疑問を抱いてしまった経験がある人は少なからずいらっしゃのるのではないかと思いますが、この『六道の悪女たち』ではそれを陰陽術の力という理由であっさり説明してしまっている。
そして六道本人がそれを決して納得したり受け入れはしていない。
この作品、「悪女ハーレム」に見えて実際はアンチハーレムラブコメなのではないか?とすら個人的には思っています。
ヒロインが悪女だらけなのはおそらく作者である中村先生のご趣味と思われますが…その趣味性の高いヒロインが大勢登場するラブストーリーを熱血少年漫画に仕立てあげてしまう実力はこれが連載デビュー作とは思えないほどです。


そして特筆すべきは最凶最悪の悪女・乱奈さんの魅力!
野性剥き出しの悪女モードと、六道くんの前でだけ見せる恋する乙女モードのギャップも実に魅力的ですが…単に媚びとか自分を可愛く見せようとか…そういう生半可な「デレ」ではないんですよ。
六道自身が変わることを選んだ一番のきっかけは、何よりも乱奈さんの「漢気」を受けたこと。
六道自身が穏やかな学校生活を送るために軽い気持ちで交わした「手を出さない(周囲に暴力をふるわない)」という約束を固く守る乱奈さんの姿。
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六道くんが見ていないところでも、自分が攻撃されても、たとえその六道くん本人が目の前で殴られていても。
好きな人との「約束」だから、守る。
漢気であって、乙女心でもある。悪女であっても、たったひとりの想い人に対しては筋を通す。こんなにも強く、魅力的なヒロインが存在するだなんて!
乱奈さんのためにも、六道くんを応援したい。
六道くんのためにも、乱奈さんを応援したい。
心からそう思える主人公とヒロインです。


主人公・ヒロインが魅力的なだけでなく脇を固める登場人物もみんな良いのですよ(大佐&課長がほんと良い奴だったり!)。
秋田書店公式で第一話の試し読みも出来ますが一話だけだとなかなか伝わらないかも…。この1巻全体の流れが非常に良くってガッチリ心つかんできますのでちょっとでも気になった方はぜひぜひ読んでみてほしい一作です…!!
ちなみにここまで乱奈さんについて絶賛しておいてなんですが個人的に最推し悪女は1巻のラストで初登場するあのヒトです。ホンットに次々可憐な悪女が登場してまいっちゃいますよ!