今年のはじめ頃から『HiGH&LOW』シリーズにハマっております。元々映画やドラマというものを殆ど観ないのですが、キャラクターや設定の作り方の良い意味での漫画っぽい大袈裟さがひじょうに面白く、この夏の「THE MOVIE2」からさらに深い沼に沈んでおります。
さて基本的にはザ・男の世界といった感じで硬派な『ハイロー』世界に突如現れたのがCLAMP先生作画による『HiGH&LOW g-sword』。それはそれはかわいらしくデフォルメされたキャラクターが活躍するギャグ漫画です。週刊少年マガジンでの連載中からキャラクターグッズも多数販売されており、大変な盛り上がりをみせています。
そんな中ついに『HiGH&LOW g-sword』の単行本が発売されました。フラッシュアニメが収録されたDVD付特装版も同時発売!アニメのCVは実写版のキャストが担当!!といろいろととんでもないことになっています。3頭身にかわいらしくデフォルメされたキャラクターからキャスト本人の声が発せられ、本編ではありえないようなゆかいなやりとりが観られるアニメを視聴していると、ひかえめにいっても頭が混乱しますのでオススメです。


それはさておき漫画の本編も”『SWORD』トップとその仲間達の割とゆるくてぽんこつで時折ちょこまかする物語”と作中で説明されているとおり通常は3頭身(※時々シリアス頭身になります)のキャラクターたちのほのぼの+ワチャワチャな日常を覗く感じの作品となっています。
山王連合会のメンツを中心としてSWORD+αのメンバーたちが絡む本編に雨宮兄弟の日常生活がオチとして付け加えられるのが基本スタイル。本来のキャラクター像はおおよそ尊重されていますが、時折オリジナリティ強めの設定が付加されているのでそこは好き嫌い分かれる部分かな…と思います(ノボルの腹黒化とか…)。さらに役者さんたちにあまり詳しくない自分でも多少は元ネタがわかる程度に「中の人ネタ」も付け加えられていたりもします。わかる人にはそれだけ楽しさが増すのではないかと…そのあたり「公式」といっても二次創作的と感じられる要素の一つですね。
山王連合会のメンツを中心としてSWORD+αのメンバーたちが絡む本編に雨宮兄弟の日常生活がオチとして付け加えられるのが基本スタイル。本来のキャラクター像はおおよそ尊重されていますが、時折オリジナリティ強めの設定が付加されているのでそこは好き嫌い分かれる部分かな…と思います(ノボルの腹黒化とか…)。さらに役者さんたちにあまり詳しくない自分でも多少は元ネタがわかる程度に「中の人ネタ」も付け加えられていたりもします。わかる人にはそれだけ楽しさが増すのではないかと…そのあたり「公式」といっても二次創作的と感じられる要素の一つですね。
わたしはハイローでは鬼邪高校の番長・村山さんがいちばん好きなのですが、漫画を読む前に映画の冒頭で流れた『映画泥棒』コラボアニメを視聴した際に幼児のような口調で描かれた村山さんを観て若干首をかしげており、CLAMP先生とは解釈違いだ…!と苦しんでいた…んですけれども。漫画版を読むと「デフォルメ頭身のホワホワした可愛らしさ」は普段のつかみどころのなさを、「シリアス頭身時の鋭さ」はそれでも周囲が惹きこまれる男気を持っている部分を。それぞれの描き分けによって村山良樹というキャラクターが持つある意味極端とも言える魅力が絵柄とともにデフォルメで表されているんだ…ということに気付きました。

これは村山さん以外のキャラクターにも言えることで、その魅力や個性の抜き出し方に若干の癖はあるものの…どのキャラクターもよく観察されたうえで『g-sword』の世界観に落とし込まれています。こういった部分に関しては、元々CLAMP先生がハイローの大ファンであったということが大きく影響していると思われます。

これは村山さん以外のキャラクターにも言えることで、その魅力や個性の抜き出し方に若干の癖はあるものの…どのキャラクターもよく観察されたうえで『g-sword』の世界観に落とし込まれています。こういった部分に関しては、元々CLAMP先生がハイローの大ファンであったということが大きく影響していると思われます。
とにかくキャラクター数が多いハイロー世界を、基本ドタバタしたギャグ漫画として描きながらも時折シリアス部分を交えつつ結果的に一本の作品として収束させていく構成はさすがというかお見事でした。また、ストーリー的には「THE MOVIE」と「THE MOVIE2」のつなぎとして無視できない場面や会話がいくつかあるのも見逃せないところです(たとえば、雅貴が琥珀さんを信用した理由であるとか、ノボルとヤマトのコブラに対する想いであるとか)。

「公式」とはいえそれらがどこまで本編(実写ドラマ・映画)と同じ軸で描かれていると思っていいかという問題もあるのですが…。しかし単なるかわいらしいギャグ漫画という枠に収まらない作品であるのは事実ですので、現時点で映画等の中で語られていない部分を想像あるいは考察するうえでも読んでおいて損はないと思います。

「公式」とはいえそれらがどこまで本編(実写ドラマ・映画)と同じ軸で描かれていると思っていいかという問題もあるのですが…。しかし単なるかわいらしいギャグ漫画という枠に収まらない作品であるのは事実ですので、現時点で映画等の中で語られていない部分を想像あるいは考察するうえでも読んでおいて損はないと思います。
ところで、『ハイロー』にはもうひとつのコミカライズ作品が存在します。秋田書店発行、細川雅巳先生作画による『HiGH&LOW THE STORY OF S.W.O.R.D.』全3巻です。
細川先生の『シュガーレス』のドラマ版にLDHが大いにかかわっていた縁で手がけられたコミカライズだと思われます(共通するキャストもかなり多いですね)。こちらはドラマ版のSeason1のストーリーをほぼ忠実になぞった内容です。『シュガーレス』で不良ケンカものを連載されていた細川先生ですので、アクションシーンの迫力と説得力はかなりのもの。


ストーリー自体の編集もかなり手堅くまとめられている印象で、個人的にはドラマ版ではやや冗長気味に思えた回想シーンもコンパクトかつ効果的なタイミングで描かれていると感じられました。絵柄のいかつさ・泥臭さは多少好みがわかれるところかもしれませんが、実写キャストの特徴はそれなりに取り入れられた作画で、個人的に日向の色気はかなりのものだと思います…!


細川先生の『シュガーレス』という作品を表するのに、ファンの間ではしばしば「ヤンキーポエム」というような言葉が使われていました。不良たちが喧嘩しまくる世界観に細川先生独特のポエム…台詞回しが絡み合う作風をよく現した言葉です。『ハイロー』は原作のある作品なので、登場する台詞ももちろんおおよそ原作通りです。しかし『シュガーレス』における「ヤンキーポエム」が単にその内容だけでなくそれが発せられる状況であったり、キャラクターの強い表情であったり…そういった要素によってより映えるものであったのと同じで、この『ハイロー』コミカライズにおいてもキャラクターから発せられる台詞がより印象的に映るような作画がされている点も「細川版」の魅力だと思います。
同じ「公式コミカライズ」といってもまったく毛色も違えば役割も違う両作品ですが、どちらもハイロー世界を魅力的に描いた漫画作品だと思います。ザックリいうとドラマ版ストーリーを忠実かつしっかりと手堅くまとめあげた細川先生は職人気質、各キャラクターを愛情をもってデフォルメしたCLAMP先生は二次創作的な愛情表現の手練れ。そんな印象です。ハイローファンの方でどちらかの・もしくは両方の購読を迷われている方がいらっしゃったら参考にしていただけたら幸いです。