週刊少年チャンピオンが10年以上続いた沢編集長体制から武川新編集長体制に変わってもうすぐ1年。
連載の入れ替わりも激しく安定しているとは言いがたいですが、なんだかんだ言いつつ毎週楽しく読んでいるのでたまには個人的オススメ作品のご紹介記事を書いてみます。
完全に独断と偏見でお送りいたしますので「あの作品が入ってない!」「この作品の見どころはそこじゃなくてここだろ!」というクレームは受け付けませんというか、おすすめしたい人が書いたほうがアツいものができると思うのでみんなも書こうぜ。
では順不同でお送りします。
※既刊情報は2018年4月現在のものです。
『BEASTARS』板垣巴留/既刊7巻
「このマン」2位・マンガ大賞受賞など破竹の勢いを誇る本作、いまさらご紹介するまでもないかもしれませんが現在の週チャンでホットな作品を挙げるとなればやはり外せません。
肉食獣と草食獣が共存する動物擬人化ワールドを舞台に、友情や愛情・食欲に性欲・ないものねだりやすれ違い…様々なものが渦巻く青春ストーリー。
「人間の世界にも当て嵌められる」部分も多々あれど単に「人間の性質を擬獣化した」というわけではないのが重要で、まさにこの世界観でしか描けない・板垣巴留先生にしか描けない唯一無二の作品です。
初期は「面白いしすごい作品だとは思うけど、個人的に推しという感じではない」という印象だったのですがどんどん好きになってきてしまっていまでは胸を張って「推せる」と言えます。
元来天才であった板垣巴留先生が週刊少年誌というフィールドに徐々に順応してきていて個性はそのままに読みやすさ、キャッチーさがプラスされてきているいま、週チャン誌上で連載を追っている読者はひとつの伝説をリアルタイムで目撃しているような贅沢を味わえています。
『BEASTARS』は読んだけど『BEAST COMPLEX』はまだ読んでないという方はそちらもぜひ。同じ世界観で描かれる短編集です。
『六道の悪女たち』中村勇志/既刊8巻
そんな”天才”板垣巴留先生が毎週「戦々恐々としながら読んでいる」と仰ったのがこちら『六道の悪女たち』。
いじめられっ子だった主人公・六道桃助が先祖から伝わる術により「悪女限定でモテてしまう体質」を手に入れてしまった…という尖った設定のハーレムラブコメ。
…と、一見そう見せかけておいて実際はあまりにも真っ当であまりにも王道な、仲間と共に成長していく主人公を描く「少年漫画」です。
悪女といっても女の子。そんな女の子たちを狂わせてしまう己の体質(術の力)を忌み嫌い、一人一人への筋を通していく主人公を描いた「アンチハーレムラブコメ」でもあると私は思っています。
強大な敵に立ち向かうことや彼らの中での「正義」を貫かなければならない場面もある。しかしヒロインが「悪女」であるからこそ単純な「勧善懲悪」では解決できない。
次々ぶち当たる障害を前にもがき苦しみながらも、彼が思う最善を選択していく姿を見るたびに「この主人公を信頼したい」と思えます。
メインエピソードを終えたヒロイン達も後から様々な局面で登場し、時に華やかであったり時に笑える姿を披露してくれます。ゆえに誰を推しても安心!
とにかく構成に隙がないというか、ほんとに毎回唸ってます。展開力に構成力。これが初連載ですよ中村先生。
それだけ隙がないのに(一部を除く)悪女ヒロインたちがメチャクチャ強いのに何の理由付けも説明もされてない潔さにもしびれます。わたしはロリ番長の幼田さんがだいすき!!
『ヒマワリ』平川哲弘/既刊2巻
『クローバー』『クローズZERO2』で不良漫画を10年近く描き続けてきた平川先生の最新作、誰もが驚く男子アイドルものでした。
伝統芸能の相方を務める幼なじみの男子高校生、蓮と清春。
ある日突然街から姿を消した清春は、なんとテレビの中で歌い踊るアイドルになっていた。取り残された蓮が選んだ行動は…自らもアイドルを目指すこと!?
アイドルを目指す理由から見つけていく物語なので展開は比較的ゆっくりなのですが、すべてが堅実かつ丁寧に描かれているのでその速度が心地よくも感じられます。
一番驚きなのが、喧嘩シーンで培われたアクション描写ってアイドルのパフォーマンスに流用できるんだ…!ということでした。動きも表情もイキイキしてます。
喧嘩(ガチ)したり壁にぶつかったりもするけど、主人公である蓮がとにかく前向きで折れない挫けないのが痛快で、作品タイトルに偽りのない明るさが常にあります。
そもそも男性アイドルものを少年誌でやる、ってこと自体結構な英断だと思うんですよねえ。男女・次元問わずアイドルが好きな人に読んでほしい作品です。
『ハリガネサービス』荒達哉/既刊20巻
週チャンの新人作家初連載としては異例ともいえる20巻到達を達成した高校バレーボール漫画。
驚異的なサーブ精度を持つ主人公の下平鉋と同じ1年生の間白・松方・金田らの友情や成長を軸に、時に衝突しながらも次第に先輩らとの絆を深め、個性豊かなライバル校と戦っていく姿を描く…
と書いているとものすごく爽やかなんですが決して爽やか一辺倒ではなく「凄いプレイヤーほどワケあり」みたいなところがありまして、時々ハードな過去回想などもぶっ込まれます。
特に幼少期の回想シーンがエグめなのでインパクトもあるのですが、各キャラクターが背負った過去をきちんと「バレーを通して」精算していき一つ一つのエピソードをまとめ上げる手腕の見事さは確か。
それぞれのキャラクター描写も魅力的で、そんな魅力的なキャラクター達が想いを、人生をプレーに乗せているのだから(陳腐な言い方になりますが)尊いんです。
まだまだ伸びてほしいし、舞台化とかアニメ化とかしてほしいってずっと言ってます。メディア化でさらに伸びるタイプの作品だと思うんですよ、絶対…。
(あっいまなら電子版1巻無料で読めるみたいです!いまなら!終わってたらすみません!)
(あっいまなら電子版1巻無料で読めるみたいです!いまなら!終わってたらすみません!)
『魔入りました!入間くん』西修/既刊4巻
金に目が眩んだクズ両親によって悪魔に売り渡されたお人好しの少年・鈴木入間。
絶対絶命かと思いきや?一転、子も孫もいない悪魔に「孫」として溺愛されて魔界の学校に通うことになった入間くんの奮闘記?です。
思っていたよりも楽しくて、でもときどきやっぱり「悪魔だ!」と実感せざるを得ない個性的な面々。
頼まれたら断れない入間くんですが、そんな優しさや人の好さも悪魔の中では立派な「個性」となり得るもの。この発想がまず凄く面白い。
ドンチャン騒ぎのコメディ路線が基本ですが、時に緊迫感のあるシリアスな展開や迫力のバトル展開に進むこともあり、またそれらの緩急の付け方や各エピソードの締め方が毎回巧いなあ…と感心することしきりです。
個人的には各エピソードで凄く好みだったり逆にちょっと好みから外れたな…と思うこともあるのですが、描かれたエピソードのまとめ方で裏切られたと思うことはまずないですね。
男の子も女の子もとってもカワイイけど自分はハチャメチャ破天荒ガールのウァラク・クララ嬢が大のお気に入りです!
『吸血鬼すぐ死ぬ』盆ノ木至/既刊8巻
最弱ザコ吸血鬼のドラルクと吸血鬼ハンターロナルド(とドラルクの使い魔であるアルマジロのジョン)を中心としたドタバタギャグ漫画。
既にコラボカフェまで開催されている人気作品で、固定ファンも大勢いる作品ですがその人気がうわべだけのものではなく、ギャグ漫画として物凄い完成度と威力を誇っていることをまだまだ伝えていかなければいけないと思うのです。
吸血鬼も人間も超個性的でパンチが効きまくり、そして「キャラの使い捨てをしない」というのが物凄いところで読み続けていれば読み続けているほど「あのときのこいつここで出てくるの!?」と何度でも驚き&爆笑することができます。
黙っていればイケメン、美少女なキャラ群もこぞってどこかしら残念だったり身体張ってたりするのですが「身体を張る」体質は作者譲りなのか、盆ノ木先生ご自身も時折ツイッターで(作品と無関係なネタで)おバズりになられていることがあります。
とにかく全部のコマにネタを仕込まないと爆発する装置にでも座って描かれているのだろうか?というくらいの密度。そんな密度が笑いだけでなくキャラクター性の掘り下げにも繋がっているのが罪深いですね。
キャラクター人気も高いですが、それを抜きにしても台詞回しやド細かいあるあるネタなど何も考えなくても楽しいです。
『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』森田将文/既刊1巻
現代にテントウムシの姿で転生した戦国武将・長宗我部元親と平凡なぼっち中学生・夢見獏の出逢いで始まったこの物語。
連載開始当初こそ戦国時代と現代のギャップや昆虫姿の「殿」ことチョウソカベが巻き起こす騒ぎを描いたギャグ路線…でしたが、昆虫姿に転生した武将たちが次々登場し、今ではそれぞれの矜持を持って戦うバトル路線が中心となりました。
現在発売中の1巻ではその路線は殆ど感じられませんが、「生前の武将の特徴や過去の心残り」と「昆虫の生態」を掛け合わせた熱くて個性的でハイスペックなバトル描写が光っています。
また獏たち人間側も、殿たちの戦いぶりを見て成長していく・自分たちにできることで戦っていく。そんな熱さがあります。
また、森田先生の可愛らしさと格好良さを兼ね備えつつデザイン性高い絵柄で描かれる昆虫武将たちの姿も大変魅力的で◎です。1巻の表紙とにかくかわいいので少しでもピンときたらぜひ。
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以上、7作品をご紹介いたしました!
お前『鮫島』とか入れてねえのかよ?!って思われそうですが、勿論バチバチシリーズは最高なんですが文字に感想を起こすのがものすごくしづらい作品なのですよ…実力不足。ごめんなさい。
あと勿論渡辺航先生信者であるのですがいまさらペダルをわざわざおすすめするくらいなら『るるも』をおすすめしたい…すみません。
あと勿論渡辺航先生信者であるのですがいまさらペダルをわざわざおすすめするくらいなら『るるも』をおすすめしたい…すみません。
というかここに書けなかった作品も楽しんでいるんですが今回はこのへんで。
ちょっとでも気になる作品があったらまずは試し読みしてみてくださいね!便利な時代ですね!!では。