秋田書店作品Kindle50%還元セールが今年も行われているようで。
この時期、毎年恒例になりつつありますね。
秋田書店作品で好き!推したい!というものも挙げ始めるとキリがないんですが、折角の機会ですしピックアップしてみます。
※まとめ買い向けに今回は[完結済み]作品に絞ります。


『猫神じゃらし!』福地カミオ(全4巻)
猫がたくさん住む田舎町「藍ヶ浦」に古くから伝わる”ネコガミさま”こと半人前の神さま・「こまり」と偶然出会った中学生「さや」。そしてそれにまつわる人々と猫たちが送るほのぼのコメディ。
現役高校生デビューを果たした福地先生の、読切や短期連載作品を経ての初の本格連載作品で、絵柄のかわいさは初っ端から折り紙つき。
動きであるとか、漫画的には序盤はどこか硬さが感じられなくもないのですが連載を重ねるごとにはつらつ・イキイキさが増してより楽しくなっていきます。
連載中は大プッシュ…とまではいかなかったのですが終盤の神エピソード(猫神さまだけに…)連発で完全に魅了されました。
さやちゃんの愛猫・ゆきちが猫神パワーで丸一日おしゃべりができるようになる回と、愛猫ナナを喪ったショックでオカルトに傾倒してしまった葵ちゃんがついに開発したアヤシイ薬により、ナナの霊と対面する回がだいすきです。
猫の可愛さだけでなく、猫を愛する人々の温かさや時にはちょっぴり切ない感情まで丁寧に描かれていて本当にやさしい世界です。癒され度100万点。

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『はみどる!』まりお金田(全5巻)
個人的に長年チャンピオンの好きな作品上位に君臨し続けている作品。
超アガリ症の南あかり・元名子役でプライドが激高い小柳かすみ・モデル志望だけどチビッ娘の麻丘すずのの3人による、売れない〝はみだし〟アイドルグループ「まっしゅ❤るーむ」があれやこれやと一人前のアイドルを目指して奮闘するコメディです。
いや、コメディ…というよりはむしろ「ギャグ」寄りかも。一見華やかな表紙のビジュアルからは想像のつかないほどの身体を張った彼女たちの日々が綴られています。
お色気ギャグ…とも言えるサービスぶりなんですが、絵面的に色気<笑いになっちゃうレベルのパンチ力。
さらに、「まっしゅ❤るーむ」の3人以外(売れっ子であるはずの)のアイドル達もクセの強い面々ばかり。
(あかりを心配するあまり自らも女装してアイドルになってしまった弟、とかかすみを表面上はdisってばかりだけど本当は行きすぎレベルでかすみのことを尊敬・溺愛している売れっ子ジュニアアイドル…など)
また、個人的に安心できるというか、信頼できる点として「まっしゅ❤るーむ」マネージャーの安斉さんの存在があります。
はみだしアイドルの彼女たちを常に温かい目線で見守る頼もしいマネージャーである安斉さんは作中屈指の常識人なので、ツッコミ要員としても重要な存在ですが…マネージャーやプロデューサーと女性アイドルの恋愛沙汰が地雷、という人間にとって本当に信頼できる存在なんです。
男性キャラはいるものの、恋愛要素や下心がほぼ皆無なところ、すごく安心して読めます。
まあ「多少のお色気的な絵面」を求めてくるプロデューサーぐらいの存在は自らのやらかしで想像の斜め上をいってしまうのがまっしゅ❤るーむなので…!頭からっぽで読めます!

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『少年ラケット』掛丸翔(全13巻)
記憶喪失のイチローと、彼の過去を知るヨルゲンの運命的な再会からはじまる物語。彼らをつなぐ物は「卓球」でした。
エリート卓球少年のヨルゲンをかつて負かしたイチローがゼロからの知識で卓球を学んでいきながらも、所々のプレーにその本来の実力を滲ませていく序盤は、「つよくてニューゲーム」といったところ。
この設定がなんとも絶妙に、卓球のルールを知らない読者にも読みやすく、また主人公の秘めたる強さを感じさせて惹きこまれていく。という効果を生み出しています。
また、イチローの通う森原中学校の卓球部のメンバーや、ヨルゲンの通う卓球エリート校・紫王館中学校のメンバー。そして、彼らが出会うライバル校…次々登場するキャラクター達も実に魅力的で、しかもそのすべてのキャラクターの背景の設定がしっかりしています。全員が主役になりえる。
競技的な卓球の描写も見やすく魅力的、設定や伏線の張り巡らせかたもお見事で読み込むほどに新発見があります。
自分は作品に完結を求めがち…というか、締めの良し悪しで作品への印象が左右されるタイプなので、どっちかというと短期で完結してくれたほうがありがたいと思ってしまうタイプなのですが…。
『少年ラケット』はまだまだこの先が読みたい作品だったし、いつかまた続きが読めるといいなあ。と心の底から思っています。

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第一話試し読みリンク →続けて2話3話・10話が読めます。
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『スメラギドレッサーズ』松本豊(全4巻)
まじめな風紀委員長・三ノ宮かなでが突然出逢った謎の生き物?「てらす子」によりもたらされた力で、世界を救う決意をする物語。…または、ひとりぼっちだったかなでの周りに友達が集まっていく物語。
「制限時間以内に着替えなければドレスルームが開放され、着替えが不完全なまま強制終了させられる戦闘用ドレス」という変身アイテムは、序盤こそ下衆な男どもの目を集め、かなでが羞恥に震えるだけのもの…に、見えました。
しかしこの「ドレス」の存在こそがかなでが啖呵を切ったときにカタルシスを発揮し、制限ゆえの戦略を生むことになるのです。
”化けた”というよりは計算ずくだったのであろう、その展開からは一気に惹きこまれます。
少女でなければ乗り越えられない困難、少女だからこその強さ。
バトルヒロイン作品の傑作、と個人的には言い切りたい。
(この作品も続きが読みたいなあ…。)

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『永遠の一手 -2030年、コンピューター将棋に挑む-』原作/伊藤智義・作画/松島幸太朗(上下巻)
史上最強の名人が、コンピューターに敗れた。その日から崩れ始めた将棋界が、人間の手によってふたたび熱狂を取り戻す。
そこに至るまでの苦悩、葛藤、そして喜び。本編は全12話と短いながら、現名人と元名人、そしてコンピューターを生み出す人間…彼らの「人間」ならではの感情と表情が描き切られています。
テーマは「将棋」ですが、何かに身命を賭す人間の輝きが描かれているという意味では、普遍的なものを描いているとも言えます。
…わたしを知っている人であれば結局これか!知ってた!とお思いのことかと思いますが…。事あるごとにご紹介をしていくスタイルです。
奇しくも物語の幕開けは2020年ですが、現実はオリンピック開催の年ではなくなっていました。
しかし将棋ブームの昨今…注目が集まり再評価されてほしいと心から願っております。
映画化してほしい!!

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ここに載せきれなかった大好きな作品もたくさんありますが…個人的に殿堂入りレベルの作品をまとめてご紹介させていただきました。
もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら試し読み等まず触れていただければ幸いに思います!