こんにちは、いつもお世話になっております、あるいははじめまして。ササナミです。
今回お送りするのは…2020年に読んだ漫画のベスト10です!
この手の記事を書こう書こうと思いながら忘れたりサボったりしながら今日に至ってしまいましたが…
3月末までは…2020年度だから…!!!!という強い気持ち(いいわけともいう)でようやく書きました。

というわけで時期が変則なので今回の記事内では
・作品のチョイスは2020年(1月~12月)に単行本が発刊されたもののみ
・巻数の表記は2021年3月現在のもの
とさせていただきます。
ランク付けは苦手なので順不同です。

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『葬送のフリーレン』原作 山田鐘人・作画 アベツカサ(小学館・既刊4巻)
1話試し読み
1巻の表紙を見てこれはと思い、同時期にツイッターで1話が読めるツイートがバズっているのを見かけましたが自分の直感を信じてみたかったのであえてスルーして中身を知らないまま購入。
正直「やられた!」と思いました。それくらいおもしろい。
話も絵もばちくそに巧みでサンデーやるな…!と謎にチャンピオン目線(?)で嫉妬を覚えてしまいました。
終わりから始まる物語だけど、フリーレンやヒンメルたちが共に旅した確かな10年間が作品の中で描かれ続けるのがいい。
「死」と隣り合わせで、時にはバトルもあって、笑いのスパイスもあるけど一貫して作品の空気が穏やかなところも素敵です。
普段あんまり予想とかはしないけどこのマン1位はこれかなあとすら思っていました。(と思ったらマンガ大賞受賞されましたね!おめでとうございます)


『どくヤン!』原作 左近洋一郎・作画 カミムラ晋作(講談社・全3巻)
★1話試し読み
お世話になっているフォロワーさんが強烈にプッシュしていて興味を持った作品。
読書+ヤンキーの組み合わせだけでもすでに「勝ってる」感がある発想ですが、その発想だけに頼らない細かい読書ネタ、ヤンキー漫画っぽさがふんだんに散りばめられていて最高に面白いです。
「私小説ヤンキー」「SF小説ヤンキー」から「レシピ本ヤンキー」まで多岐にわたる推しジャンル持ちヤンキーたちのクセの強さ、そしてそれらを活かしてケンカするという能力バトルっぽい要素もあり。
非ヤンキーで非読書好きのツッコミ役である野辺くんがいちばんマトモかと思いきや、結構彼は彼でズレてるところがあるのもまた味わい深い。(ルノアール兄弟の左近先生が原作なだけありますね)
完結巻の3巻が電子版のみの刊行とのことで残念です(すみません完結巻未読ですが近いうちに読みます!)。まだまだやれる題材だと思うので何らかの形で続編が出ないかなと期待しています。


『そのへんのアクタ』稲井カオル(白泉社・既刊1巻)
★1話試し読み(途中まで)
『うたかたダイアログ(花とゆめコミックス)』の稲井カオル先生最新作が青年レーベルだったので驚きましたが、中身は変わらぬ稲井節とでもいいますか、ノリ自体はほぼ同じと言って差し支えないです。
これってさらっとやられていますが凄いことではないかと思うんですよね、少女マンガでも青年マンガでも作家の持ち味が変わらぬ良さなのに、レーベル(ジャンル)に違和感も感じさせないという。
わたしは会話劇が好き&強烈なあこがれがあるもので、稲井先生が描かれるウィットに富んだやり取りの応酬が惜しみなく続くスタイルには強く惹かれます。
シリアスになりそう…でならんのかい!っていう温度感も心地よく。
強さ以外のものをどこかに置いてきたような芥さんが鳥取基地の愉快な仲間たちに囲まれて、ちょっとずつ人間っぽくなっていく姿。今後もたのしみです。


『やったねたえちゃん!』カワディMAX(KADOKAWA・既刊2巻)
★1話試し読み
”検索してはいけない”ワードとしてインターネットミーム化したあのコマのあの台詞を表題として、陰惨ロリ成人向け漫画の続編がまさかの一般誌で連載化。
これだけでも衝撃的ですし、その内容があの”たえちゃん”の中に宿るもうひとりの人格がコロちゃんに仕込まれたワイヤーで悪漢どもを切り裂く痛快アクション…というのもまた強烈。
今作の第一話だけはネットでご覧になったという方もいらっしゃるかもしれません。同情の余地もないような輩どもが一見非力そうな少女に切り刻まれるお約束展開にはカタルシスを感じることができます。
その一方、容赦なく人を殺せる”たえない子”と同じ体を共にしているヒロイン、純粋なままの”たえ子”が自分の意志とは無関係に罪を重ね続けているという不穏さも併せ持っていて…。本当に”たえちゃん”は幸せを手に入れることができるのか?それを考えると胸がざわつきます。
それでいて殺人グロギャグみたいな感じで人死にに小ネタが挟まっているもんですから、読んでいると感情ひっかきまわされます。怪作!


『イン・ザ・ポケット 谷和野よみきり集』谷和野(小学館・全1巻)
★冒頭試し読み
以前から好きな作家さんなのですが、しばらく動向を見失っていたので昨年何冊か単行本をまとめて購入しました。その後すぐこのよみきり集が刊行されていたので、何冊も一気に読めてお得な気分(?)。
谷先生の漫画は、繊細かつ端正な絵柄で描かれるちょっとふしぎ系な作風。この作品集は特に、時代設定や国やお話の長さや方向性もばらばらです。ほのぼのからちょぴりダークなものまでさまざま。
中でも、特に短めの作品ですが『換毛期』が好きです。よきボーイズ感情が見れる。
『ざわざわ毛糸』もおとぎ話みたいでかわいい!谷先生作品、動物たちがまたかわいいんですよ。
動物たちや、時には無機物たちにまで心や言葉を持たせる作品が多いのも特徴ですね。
よみきりが達者な作家さんではありますが、『アドレスどちら』の続きもいつかよみたいな~。


『僕のパパになってください』緒川千世(芳文社・全1巻)
★1話試し読み
2020年でもっともヘキに刺さった作品です。としか説明できない!
コミュニケーションが苦手でやや不器用な30歳の”息子”と、紳士的でお茶目で優しい52歳の”パパ”の”疑似”親子関係のおはなし。
これも表紙買いなんですけれども、表紙だけを見たときの印象を良い意味で裏切れた…と言いますか、説明してしまうとねたばれになってしまうので詳細を書けないもどかしさ…。
ラストが本当に好みなんです。せつなくて苦しい余韻がよぉ…!
漫画作品に対する自分の中での評価って終わり方でかなり左右されるので、一巻完結のこの作品に対する思いというものはゆるぎないものとなりました。
続きが読みたい、この先が知りたい…くらいがちょうどいいのかもしれないです。抽象的な感想ばかりで申し訳ないですが…。
わたしと好みが似ている人で表紙がちょっと気になった方、騙されたと思って読んでほしい・・・。


『家庭教師なずなさん』縁山(秋田書店・既刊3巻)
★1話試し読み
週チャンで一時期いちばんの楽しみだった作品。だった…というのは、すでに連載が終了しているからです…しょんぼりすぎる。
(このクソマイペースブログが重すぎる腰をあげて1巻の感想も単独で書いてたのでよろしければ→こちら。 それくらい推したい気持ちがあった…)
なにもかもがデカくて規格外でめちゃくちゃ強い家庭教師(ガヴァネス)のなずなさんが暴れまわる破天荒コメディ…というのはこの作品の一面に過ぎなくて、時には優しさ溢れる回が不意打ちでやってきてしんみり泣かされたりもしていました。なずなさんというキャラクターだけでなく、作品としての度量もデカかったのですね。
なずなさんに兎宮さんというタイプは違うがどちらも強いお姉さんという二人をはじめとして、異様にレベルが高い中学生女子キャラたち、犬塚+猿飛という好対照コンビ、そして何より暦家の主として相応の成長を見せていきながらも時にあどけなさを見せてくれる甲子太郎様といった面々の魅力も強かったです。
最終巻となる4巻は4/8発売です!最後まで紙で発売してくれることだけが救い…。


『ヤンキーJKクズハナちゃん』宗我部としのり(秋田書店・既刊4巻)
★1話試し読み
なずなさんが終わった現行では、週チャンでいちばん楽しみにしている作品。
男女比率1対359の学校生活というどハーレム設定ですし、第一話の時点では主人公の早乙女くんに対する好感度は正直微妙なものでした。
でも不完全で未熟だからこそ主人公は成長していくし、それはヒロインたちも同じ。
ちょっとクセがあって、問題のある女の子が多いんですよ。この作品。でもまっとうにいい子じゃないからこそ、早乙女くんと出会い、日々を過ごすことで自分を見つめなおしていく。みんなで成長していく作品なんです。
お色気ノルマをこなしつつ、彼女たちの悩みや成長、女の子同士の関係性も丁寧に織り込まれる構成のうまさはやっぱりベテラン作家さんの安定感なんだろうなあと感じる今日この頃。
『六道の悪女たち』もそうですけど、”ハーレム”系の作品が異様な熱さを持ちがちなところが好きです、チャンピオン。


『僕とロボコ』宮崎周平(集英社・既刊2巻)
★1話試し読み
2020年ハマった、という意味では一番かもしれない。何度も単行本読み返しちゃってます。
ギャグマンガが厳しい時代になってきているという話をどこかで聞いたことがありますが、ストレートに「ギャグ」で勝負してる力強い作品。
誰かを傷つけない笑いと破壊力の両立って実は相当難しいことだと思うんですけど、見事だなあと。
あとジャンプ愛がすごいですよね、ジャンプに縁がない自分が読んでいて申し訳ないという気持ちすらありますが…。掲載誌に対する愛が溢れているのは見ていて気持ちいいです。
(チャンピオン読者としては沼田純先生作品のチャンピオン愛を思い出してしまった方向性。NJ先生お元気でいらっしゃいますかね…)


ずっと大好きな作品。ですが今回はもう、誇張抜きで心が救われました。
コロナ禍のゴタゴタ等ありまして、発売から少し間が空いてから5巻を読んだのがちょうどかなり精神的にまいってる時期でした。その時期は本当に何に対しても心が動かなくて。
そんな状態で読んだのにホントボロッボロに泣いてしまったんですよね~~~。すごいよ水沢悦子先生は…。
基本的にはのんびりした日常の作品なんですけど、5巻に収録されている”こいのぼり”回ではヤコとポコたちに最大の危機が。
命の危険に追い詰められた状況でふだんはポーカーフェイス気味でポコをほとんど甘やかさないヤコが何を思うのか。
このままでは未曾有の大惨事が起こることが避けられないという状況でその力を隠しながら静かに暮らしている”かみさまモード”のロボ、ネッキとベコはどう動くのか。
すべてが終わってホッとして、本を閉じたあと、帯に書かれている「今日も平和でよかった。」の文字が目に入ってさらに号泣。こういうところが好きだよ紙の本。
あと『ヤコとポコ』のすごいところは、絵描き・物書きのめんどくさい特性が容赦ないくらい登場する漫画家たちに練り込まれているのに、作品としては基本穏やかなところだと思っています。
愛くるしく、そんなめんどくさい作家たちの思いを癒してくれるロボたちの存在と、めんどくさい同士…人間同士の思い遣りがある。だから好きなんです。
もっともっと読まれてほしい。


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お読みいただきありがとうございました!
気になる作品があればぜひお手に取っていただければ幸いです。
なかなか週チャン感想以外の記事を書けていませんが今後も少しずつ好きな作品について触れていきたいと思っています。

昨年新たに作ったツイッターのオープンアカウントでも更新報告とときどき感想など書いてます(宣伝) 
今後ともよろしくどうぞ~。